コンパクトな本で手許において参照するのに便利。
★★★★☆
120ページのコンパクトな本で、1章が群の理論、2章が環の理論となっている。
群では、巡回群、対称群、2面体群,準同型写像、剰余群などの基本概念が、簡潔に
解説されている。
環の部も同様。
叙述は、簡にして要を得ている。
けれども、群と環についての、イメージがないと、叙述の内容を十分に把握するのはなか
なか難しい気がする。(アマチュアのシニアにとっては)
グラフや説明図が、ほとんどないので、文字記述だけから、中身を想像することになる。
授業では、たぶん、黒板に図を書いて、教師が定理や定義の中身を解説することができる。
読者は、もっぱら読むだけなので、すこし余計な知識が必要なようである。
本書は教科書として、学部3年生の1学期を予定している。
というわけで、群と環を知っている友人と一緒に読むとか、読み方に工夫がいるように思
われる。
なお、薄い本なので、定理や定義、また例をすぐに参照できるので、1冊購入して、持って
いるのも、悪くはない。
入門書・速習書にお奨めです。
★★★★★
本書は2つの基本的な代数系である群と環についての入門書であり、入門書であることを強く意識して必要最小限の項目を厳選して書かれている。
大まかな内容は次の通りである。群については、部分群、剰余群、共役類、可解群、準同型定理、シローの定理の入門である。環については、部分環、イデアル、剰余環、整域、一意分解整域、商体などである。
各節にはとても適切な例や注意があり、各節にある項目の理解の助けとなっている。定理、命題などの証明は丁寧に書かれていて、代数学に初めて接する人にも分かり易くまた理解しやすいものになっている。
これらから、本書は初めて代数学を学ばれる人に適していると共に、代数学を短期間に学び直そうとする人にも適していると言える。さらには、技術者の方々の速習書としても適していると言える。