宇宙大怪獣ドゴラ [DVD]
価格: ¥4,725
東宝特撮映画数々あれど、この「宇宙大怪獣ドゴラ」は、当時の特撮スタッフが新しい特撮表現に挑んだものの、意剰って力及ばず。なんとも空虚な怪獣侵略映画に終わってしまったのが残念な作品だ。
現代の技術を持ってすれば、さながらCG製のドゴラが大暴れするというビジュアルが容易に想像出来るのだが、「モスラ対ゴジラ」と「三大怪獣・地球最大の決戦」の合間に当たる1964年において、円谷英二特技監督は水槽の中のビニール系素材をテグスで操るか、アニメーションといった手法で表現するしかなかった。
また本多猪四郎監督が担当したドラマ部分も、特撮の不調に引きずられたかのように、いかんせん焦点がぼけた感は否めず、ドゴラの正体をめぐるサスペンスや、その被災状況などに緊張感が感じられないのが残念。ぬめぬめと体躯を動かすドゴラの動きを、心臓の鼓動のようなSEで表現し、生物感を漂わせたあたりは流石と言える。(斉藤守彦)