ギターリスト、ジョン・スコフィールドのファンの中には、彼のベストアルバムは80年代にリリースされた『Electric Outlet』や『Still Warm<』だと思っている人もいるだろう。これらは、彼がドラマー、デニス・チェンバースとバス奏者ギャリー・グラインガーとともにヒュージョンの頂点に立つ前に出された素朴でファンキーなアルバムだ。70年代エレクトリック時代に彼を使っていたマイルス・デイビスの不気味なトーンをほのめかせているが、『Bump』でも彼の世界は、また変になっってしまった。マンハッタンの前衛バンド、セックス・モブ、ソウルコーヒング、ディープ、バナナブラックアウトのメンバーを迎え、スコは身をかがめて汚れ、すばらしくみだらなギター演奏を披露している。「Beep Beep」やメテッスっぽい「Kelpers」にはファンキーニューオリンズのリズムが溢れて、「Three Sisters」ざらざらとしたカッコよさがあり、「Fez」とアコースティックな「Kilgeffen」にはスピリチュアルなトーンの描写に満ちている。ソウルのゴットファーザー、ジェイムス・ブラウンのヒリヒリ熱いグルーヴナンバー「Drop and Roll」もそれに見合う演奏だ。ギタースタイルはジャズの世界では誰でもすぐにわかるほどになったジョン・スコフィールドだが、彼は挑戦を続け、自分を見つめなおすことを忘れない。