ライヴ・アット・モントルー 1997 [DVD]
価格: ¥4,935
エリック・クラプトンが(彼にしては)珍しい場に現れて、めったに共演しないミュージシャン仲間と演奏したところを聴けるのが、「ライヴ・アット・モントルー1997」だ。スイスで毎年開催されるジャズ・フェスティバルに登場したときの録音である。クラプトンはすばらしいミュージシャンと共演している(ピアノはジョー・サンプル、サックスはデヴィッド・サンボーン、ベースはマーカス・ミラー、ドラムスはスティーヴ・ガッド)が、聴衆は明らかにクラプトン目当てで集まっており、いつもながらクラプトンは情熱的で激しいソロをたくさん聴かせてくれる。クラプトンにぴったりのレパートリー(お約束の外せない「いとしのレイラ」はもちろん、ストレートなブルースのナンバーが数曲ある)もあるが、どうもいつもとは何かがちがっている。ジャズのコンサートだから、ではない。他のメンバーのジャズの演奏もあるが、約2時間のライヴの大半はファンキーで、リズム&ブルースのグルーヴ感のある曲目が多く、クラプトンにも複雑なリズムとアンサンブルの演奏が求められていて、どの曲でも名演奏を披露している(特にクルセイダーズ時代のサンプルのナンバー、「Put It Where You Want It」は秀逸だ)。しかしケニー・バレルのようなギタリストなら、コードを粋に変えたり、ジャズの音階を加えたりして新たなムードを吹き込めただろうが、クラプトンは、あくまで一本気なロックスタイルを貫いており、それが彼を有名にしたのだが、このコンサートではうまくいっていない部分もあるのだ。もちろんこういうことは、クラプトンの演奏が聴ければいいというファンには、ささいなことだろう。それより問題なのは、名曲中の名曲(デューク・エリントンの「In a Sentimental Mood」やジェリー・ロール・モートンの「Shreveport Stomp」では、ギタリスト、クラプトンの演奏はない)が演奏されているにもかかわらず、リフが多すぎてメロディーが足りず、ジャムセッションの繰り返しが多すぎて、旋律が足りないところだ。つまり、本作の最大の問題は、退屈になりかねないという点なのである。(Sam Graham, Amazon.com)