本書はタイトルどおり「財務管理」の理論を教科書的にまとめたもの。企業の財務業務のなかで発生するシチュエーション別にいくつかの選択肢が示され、それを比較した分析がまとめられている。たとえば、負債による資金調達のメリットとデメリット。その視点はインフレの影響、節税効果、倒産リスクなど多岐にわたる。理論がただ、漫然と併記されている財務関連本よりも読者の理解を深めやすい形となっている。
ただし、気が向いたときにちらりと読むというより、企業財務理論をしっかりと身につけるつもりで手に取りたい本。本文中に専門用語の解説は織り込まれているものの逆引きはできない。ある程度の財務知識が前提となっている。(青木 明)