インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す〈巻ノ2〉 (徳間文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 徳間書店
Amazon.co.jpで確認
空海の世界観が面白い ★★★★★
話も面白くなってきた。楊貴妃なんかも出てきて、とっても興味深い。それ以上に、ところどころ出てくる空海の世界観は面白いな。
夢枕作品の入門書にも ★★★★☆
 前回レビューを書いた巻ノ一の続きです。
 この二巻では、いよいよ前巻でネタ振りされていた、唐の都で動き始めた何者かの呪いのその根源がじわじわと明かされていきます。
 のちに長恨歌で知られる白楽天、そして日本からの留学僧としてきていた空海、橘逸勢の前に、その中核が示されていきます。秦の始皇帝の廟の側の地下に埋められた大量の兵馬俑を動かした呪い。夜な夜な都掲げられる現皇帝の死の予言。それらの大本にあるものとして、玄宗皇帝と楊貴妃との話が語られ始めます。
 その全貌はこの巻の最後に、阿倍仲麻呂から李白へとあてた書簡という形で読者に知らされます。ネタバレになるのでここでは詳細伏せますが、そこには安禄山の乱でいったんは都落ちしていく玄宗皇帝や楊貴妃たちの旅の途中で有った事が語られます。史実では、楊貴妃はその途中で皇帝陛下おつきの宦官の高力士に楊貴妃が殺されたことになっており、そこに墓陵もあるのですが、この物語ではそこで一つの事件が起こります。
 日本で多々見られる、実は楊貴妃は日本に渡っていたというそういう単純にネタバレするような事ではなく、とある事件が起こります。
 そこが、彼らの生きる時代に影響を与えており、というのがこの「空海」物語の物語世界です。実在の人物、架空の人物、実際の事件、全くの虚構、巻を進めるごとにさらにモザイクに虚実織り交ぜながら語られる空海とその周囲の面々の物語が、より幻想的伝奇的様相をこの巻からは見せ始めます。
 また、空海の物語を通して、夢枕獏という作家が深くはまりこんだ仏教的世界がここでは前面に押し出され始めます。仏教世界といっても、密が主体の考えですが、彼が「涅槃の王」で示したそれを更に前面に出て来ています。他の夢枕作品においても、この考え方は結構キーになるポイントなので、そういう意味ではこの本は夢枕獏作品に入っていくいい入門書かも知れません。
 全部で四巻組ということなので、折り返しのこの第二巻ですが、次巻一気に話が動くための舞台が整ったところまで話は見えて来ました。次巻がさらに楽しみになる一巻でした。