●楽園●
★★★☆☆
この作品は模倣犯の9年後とありますが、模倣犯のような勢いや衝撃はありません。
模倣犯で登場した前畑滋子が主人公として登場しますが、
別に模倣犯の9年後としなくても、楽園という作品で独立させても
良かったような気がします。
同じく宮部みゆきさんの作品で「誰か」という本があるのですが、
雰囲気的には、模倣犯よりもそちらの雰囲気に似ているのかな。
題材としては、そちらの作品の続編として使った方が
読んでみたい気がしました。
とはいっても、やはり宮部さんらしく
登場人物の心情や細かい描写には驚かされますし、続きが気になって
寝る間も惜しんで読み通してしまったので、おもしろいことには変わりありません。
ただ、宮部みゆきさんの他作品にはもっと魅力的なものがありますので、
普通評価の☆3つとしておきたいと思います。
面白かったです!
★★★★☆
ふぅ…
上下巻2日で一気に読み疲れました…^_^;
宮部作品は至る所に伏線が隠れているのでそれを見逃さない様、細心の注意を払いながら読み進みました。
上巻の段階ではストーリーの展開が読めず一体この先どうなって行くのか想像しながらでしたが下巻では、絡み合った糸が1本ずつきっちり解れて行く感じで気持ちよかったです。
内容その物はキツイ・残忍な内容でしたがラストに一筋の光を持って行く所が宮部さんらしいかな〜と思いほっとしました。
「模倣犯」とはまた違ったテイスト。
★★★★☆
「模倣犯」の前畑滋子が主人公であるものの、続きではないです。
山荘の描写はちらりと出てくるものの・・・。
今度の事件は連続殺人などの大きなものでこそありませんが、
静かだからこそ恐ろしいものではあります。
ただし、「模倣犯」の時からの、
ひとりひとりの人物描写に執拗なまでの厚みを持たせ、
息を吹き込む宮部みゆきならではのテイストは健在。
惜しむらくは、厚みを持たせすぎて事件の輪郭がボヤけてしまったところ。
こまごまとしたひとつひとつの事柄が、どう起伏をもち、収束するのか、
楽しみにさせる上巻。
超絶技巧のストーリー展開
★★★★★
著者の作品はこれまで「模倣犯」しか読んだことがないが,その作品の続編ということで読んでみることにした.
ストーリーは「模倣犯」の事件から9年が経った設定で,事件で大活躍したが,大きな心の傷を負ったフリーライター・前畑滋子のもとに,荻谷敏子という女性が12歳で事故死した息子に関する不可思議な依頼を持ち込むという内容で始まる.その依頼内容とは,女性の息子が,予知能力を持つ超能力者だったかも知れないので,その真偽を調べて欲しいという突飛なものだった.
ストーリー展開は非常に巧妙で,読者を引き込む文章力は,さすがとしか言いようがない.詳細はネタばれのため割愛するが,思いもよらない展開が随所にちりばめられ,読者を飽きさせない流れは素晴らしい.また途中に断章がいくつか挟まれていて,それが後のストーリーに関連するという仕掛けも面白い.
おもしろく、考えさせられました
★★★★☆
新刊時に買っておきながら、やっと読みました。今更ながらですが、おもしろく、一気に読まされてしまいました。模倣犯は、そのボリュームと救いようのない陰惨な犯罪描写がえぐ過ぎて、決して読後の感想は良いものではなかったのですが、本作品は、犯罪部分の描写は抑えた印象を受け、個人的にはその点が重過ぎず、丁度良かったかと思っています。その分、土井崎家の親と茜の関係が、自らの家庭の降りかかってきた時に、どのように対処できるだろうか、と言ったところに思いを巡らせてしまいました。親の経済力の格差が子供にも影響を与えてしまう現実、兄弟間の出来不出来、避けられない親との相性等、程度の差はあれど、実生活で抱えてしまう問題が散りばめられており、まだ小さい子供を持つ親として、ミステリーの本質とは違う部分ではありますが、宮部氏の社会問題への問題提起の鋭さに感じ入るとともに、考えさせられるテーマでした。勿論純然とミステリーとしても楽しめました。