第一の特徴は、「学生だったとき、英語の時間にこんな文章が読めたらよかったのに」と思える内容を厳選し掲載していることだ。教師の立場からではなく、最大多数の学生の関心を喚起する文章を幅広く集めたという。その結果、17世紀のオランダ絵画、右脳と左脳、知覚の歪み、バクテリアと酵素の闘い、エッフェル塔の美学、宇宙の膨張、貨幣経済の興隆など、バラエティと話題性に富んだ22点の内容が並んだ。中には、ケンブリッジ大学の入学案内も掲載されている。文体は標準的で、語数は1500語程度の文章を選んでいるので、辞書と首っ引きで解読する必要はなさそうだ。また、“ページの余白に教師の読み上げた訳文が機械的に速記される運命”からこの本を救うため、日本語のあらすじと詳しい注釈がつけられているのも大きな特色。しかも、見開きの左ページに文章、右ページに注釈を掲載するスタイルをとっているので、注釈をみるためにいちいちページをめくるうっとうしさがない。
編集に当たっては、英語の本を一冊読みきる自信がない人でも気の向くまま英語に親しんでもらえる“超”教科書を目指したようだが、そのねらいは見事に達成されているといえる。高校生から社会人まで、幅広い層におすすめしたい。(清水英孝)
このレベルの本を使いこなせる段階ならば、既に教科書的な
ものだけではなく実際の教本ではない英語をある程度読める筈
であり、洋書でまとまったテーマを探求する方が
こういった本に挑戦するよりは幾分楽で、定着しやすいため
力になる。
このThe Universe of Englishは、おおまかなテーマはあるものの
まとまっていないため、一つ読み終わるとまた何の手がかりもない
まっさらな状態からやりなおし、といったこの段階では
中々苦しい循環が待っている。
まさに本著が適しているという場合は
教師がこれを授業中使用することか、
もしくは具体的にこの本が役に立つ(大学受験で目的校に頻出
の単語が随所に入っている、など)場合である。
さらに問題なのは、本書で独学するということはある意味で
とても効率の悪い無駄な努力をしてしまう部分があり、
にもかかわらず、なぜか人に
「私は東大の教材を使いこなす英語の才能が
ありありと感じられる」と錯覚させてしまうことである。
(もしくは逆に劣等感を植え付ける可能性もある)
非常に特殊な教科書であり、ケースバイケースであるが
一般にすすめられる英語参考書ではない。
本シリーズはこのThe Universe of Englishを除けば
元が教科書ではないが、すべて同じポリシーによるので
大きな変わりはなく同様のことが言える。