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ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞社
Amazon.co.jpで確認
コンパクトながら非常に分かりやすい ★★★★★
内容の説明は他の人のレビューと
大体同じなので割愛します

個人的にどのような方にオススメか検討します
1「物価は貨幣的現象なので
いまのデフレは日銀が悪い」と思っている人
2金融に興味のある学生等
3日銀ってどんなことしてたの?って方

本書を読む人で1のような考えの人は
少ないと思いますが
ぜひ読んで欲しいですね

経済学に素養がなくても
読めるかと思いますが
初級程度のマクロを学んでから
読むとすんなり読み進めることが出来ました。

中央銀行の実際を知る上で
コンパクトにまとまっており
非常に有益な本だと感じました

続きが欲しいですね ★★★☆☆
元日本銀行審議委員が書いた一冊。著者は1998年から2004年まで、速水総裁、福井総裁のもとで審議委員を務めた。ちょうどゼロ金利政策とか量的緩和政策を日銀が採用して、それをいつ解除するかとかそういう議論が起こっていた時期である。当時から現在に至るまで、流動性の罠にはまった経済に対する処方箋についてはいろいろな議論があるが、著者によれば、

<日銀の中にいた著者などの眼から見ると、学会と日銀のコミュニケーションは、この間必ずしも万全とはいえず、お互いに反目するような局面もみられた。その中で、結果的に両者がほぼ同様の結論に到達したことは興味深い。> (p.75)

ということである。ふーん、そうだったのか。例えば著者によれば、クルーグマンの提案と日銀が採用した政策は実質的に同じとのことである(本書では「時間軸政策」)。ではその成果は?というと調子が悪い。

<前章までに見たように、日銀の1990年代後半から最近までのさまざまな金融緩和政策は、ある程度の経済刺激ないし下支え効果を発揮したと見られるが、残念ながら一般物価デフレを短期間で収束させるには至らなかった。[……]
1990年前後を境に日本経済は金融面だけではなく実物面も長い調整の過程に入り、デフレもその過程で、あるいはその結果として発生した。デフレを食い止めるための金融緩和策は、金融システムを通じて実体経済を刺激するものである。しかし、すでに述べたように、この金融システムが調整の過程で大きく傷ついていた。金利は極限まで低下したが、その経済刺激効果は弱体化した金融システムによって薄められ、利潤率ないし自然利子率の長期低迷にあえいでいた実体経済を立ち直らせるには至らなかった。> (p. 139)

ということで、日銀はやれることはやったんだけど、「金融システム」がだめだったそうだ。

<本書でも論じたように、日本経済の停滞を長く深刻なものにし、その後の金融政策を難しくしたのは1997-98年の金融危機である。この危機の後では、その後の混乱、困難は多かれ少なかれ不可避だったようにおもえる。ではどうすれば危機は防げたのか。明らかな点は、1992-96年のどこかで抜本的な金融システム対策を実施するべきだったということである。どうしてできなかったのか、これは政治経済学的にきわめて興味深いテーマだが、類書もあることなのでここでの深入りは避けたい。> (p. 188)

淡々と当時起こった事実を述べているという点で好感が持てる一冊だが、当時の金融政策の担当者の一人として、「抜本的な金融システム対策」ってどうあるべきなのか、考えを聞きたかった。「1992-96年」からもう15年くらい経っているよ。んで何も変わっていないんじゃないか。しかしそんなに日本の金融システムってだめなのかなあ。
日銀の金融政策のレビュー ★★★☆☆
 日銀審議委員を務めた著者による1990年代後半以降の日銀の金融政策のレビュー。ゼロ金利周辺での金融政策について著者は、(1)将来の金融政策ないし短期金利についての予想のコントロール、(2)特定の資産の大量購入、(3)中央銀行のバランスシートの拡大、という3つに分類する。このうち、2001年3月の量的緩和と時間軸政策については、実証分析をもとに、より長めの金利を引き下げることを通じ一定の効果を持ったとみる一方で、(2)や(3)に相当する政策については、その効果に懐疑的である。インフレ・ターゲット政策については、「流動性の罠」にいったん陥ってしまった以上、金融政策のみでデフレを克服する道具たり得ない、望ましいインフレ率よりも高めの目標を掲げることは強い効果を持つ一方、将来において約束を破る誘因となる、などの弱点があるとする。
 非伝統的な金融政策は中央銀行が独立して実施することはできるが、中央銀行のとることができるリスクには限界があることから、その実施にあたっては政府との密接な関係が必要であることを強調するなど、この間の金融政策を総括する第9章の記述は、日銀の金融政策に積極的で果敢な姿勢がみられなかったことへの言い訳のようだ。だが、その消極的な対応が日本経済にもたらした大きな災禍を思えば、むしろ未来に向け自己批判的な回顧を行うべきだったのではないか。
アカデミック・・・失われた10年の金融政策をアカデミックに振り返る ★★★★☆
 日銀の総裁を決める論議を見聞きしているうちに、
日銀の役割・政策を知りたくなり、手に取った一冊。
民主党の持論である「財金分離」がなぜ必要かなどは全く書かれていないため、当初の目的とは合致しなかったが、
”失われた10年”に日銀で何が行われたのか総括するには、とても良い本であった。

 まず、第1章から第6章で、いわゆるバブル崩壊後に日銀が採った政策について説明がある。
それによると、
 1.ゼロ金利、
 2.量的緩和、であり、
さらに2の中には、
 2−1.時間軸政策、
 2−2.非伝統的オペ、があることがわかる。
非伝統時オペとは、特定資産の購入とそれに伴う日銀のバランスシートの拡大である。
振り返ると、金利ゼロ・持合解消のための日銀による株式購入、などといったニュースが流れ、
量的緩和の出口政策がどうのという記事が良く新聞に掲載されていたのを思い出す。
本書のレビューと離れるが、今となっては肥大化したバランスシートがどうなったのか大いに疑問に思う。
金利の高い国債は、結局誰が払ったのか。
財務省がドル買いを進め円安誘導したときのドルは今どうなっているのか、など。
銀行は身軽になったが、国の負担が重くなったとすれば、銀行のツケを税金で払ったということなのだろうか?

 本書のレビューに立ち返れば、日銀の政策について書かれた第1章から第6章は、簡潔で非常にわかりやすい。
優れたパワポのプレゼンを聞いているようである。
論理的思考のハウツー本などよりよっぽど勉強になる。
その政策の効果を検証した第7章から第9章は難解であった。
私のような門外漢には、専門用語に苦労し、なぜこのような議論が展開されるのか、
なぜこのような結論になるのか理解に苦しむことが多かった。

 全体として、ゼロ金利政策中の日銀の政策を紐解くには非常に良いが、
前提となる知識をよりやさしい本で勉強しておくべきと感じた。
日銀の金融政策を理解する上で十分とは言わないが、参考になる。但し、高名な学者の著書だからといって、鵜呑みにしないように。 ★★★★☆
・ 日銀の金融政策とその理論的背景、その効果の実証分析結果が説明されている。時間軸は、国債利回りと銀行債のリスク・プレミアムに影響を及ぼした、との結論。
・ 既に量的金融緩和政策もゼロ金利政策も解除されたが、次の利上げ時期は不透明であり、出版されて約1年たったこの本は、まだ日銀の今後の政策を予想するために、ある程度参考になる。但し、日銀が、経済成長の見通し(日本以外の米国なども含めて)、消費者物価指数の見通し、GDPギャップ、地価、設備稼働率など各種の材料のうち、何を、「今」、「どの程度」重視しているのかについての明確な解説はないので、過大な期待はしないように(守秘義務もあろうし、その時々によって違うとの事情はわかる。Fedも明らかにしていないので、やむをえないと思うが、ヒントぐらいは欲しい)。

・ 全体としては概ね賛同できる内容だが、気になる表現が1ヶ所ある。(P.18)「1982年ごろから1997年までこの指数(消費者物価指数を指す)のインフレ率はおおむね0%から3%の範囲にとどまっており、常識的な意味ではこの間日本銀行が物価の安定をほぼ完璧に達成してきたことがわかる」との部分である。その後のデフレ傾向は日銀だけの責任ではないが、この文章は日銀の失敗を成功に結びつける詭弁である。もし、日銀が物価上昇率を「適正な水準に」コントロールできるのなら、とっくの昔にコア消費者物価指数は前年比でプラスに転じ、日銀は「その望み通り」、ゼロ金利政策を「容易に」解除できたはずである。