、いろんなテーマがこのエピソードには潜んでいるとは思うけど・・・
★★★☆☆
崎谷作品での昔ながらのシリーズの完全書き下ろしという分厚いこの本。
シリーズとしては何冊も出ていますので、きっとこの本を買われる方は、これまでのシリーズを読破している読者が殆どだと仮定して……
話の本筋は記憶喪失そのものというよりは、二人の関係のありかたをどう捻るかってことだった気がします。
つまり二人の関係をもう一度最初から見つめ直すことができれば記憶喪失じゃなくてもよかったのでは?と中盤以降は思わざるをえない感じでした。
慈英が臣に関する記憶だけをなくしてしまい、他人行儀な態度に臣が傷つきながらも二人の元あった関係を忘れよう、東京に帰った方がいいと慈英に勧める。
どこまでも慈英をたてる臣と、そんな臣を他人と認識しながらも完全に他人行儀になれない、なっても罪悪感がつのる慈英。
片方の記憶が飛んでも関係を築くことができるのか、新たに築く関係は前とリンクしているのか、などなど、いろんなテーマがこのエピソードには潜んでいます。
近所の女性の事件を絡めて、記憶がない上での嫉妬があったりと、潜在意識で臣を好き、忘れられない慈英が、でも自分の実際に感じる感情だけに忠実に行動し、それが臣には辛い結果となる……悪人はいないけれど、悲しい結果にしか辿り着かない。
そんな読者がひやひやする展開はぐっと世界に引き込まれます。
……が、すこし長すぎだったかもというのが正直な感想。
丁寧にお互いの気持ちの変化が綴られているといえばそうなのですが、逆に細かすぎというか、同じ状態がずるずる続く中だるみも感じられたりしたのも事実です。
食べ足りない
★★★★☆
まさかの記憶喪失ネタ。相変わらずこれでもかというくらいいじめます。臣どんだけ泣かすねん!?てかんじでした。みなさんの意見にほぼ同感です。ページはどんどん減っていくのに記憶戻らないし、まさか続きものか?と思いましたがあっけない戻り方でした。本当にその後の慈英の反省ぶりが読みたかったです。特に久遠にとことんいじられるとか、さんざん「記憶が戻ったら・・・」と前振りがあったのでてっきり書かれてると期待してたのに。甘甘の量も微量で食後にデザートは無しかよ!という気持。
私も脳内ドラマCDの声で進んでました。高1の息子の前でがん読みしてたんですが、彼はずっと本の表紙をがん見してました。タイトルも表紙も無難で助かりました。息子は神谷さんのファンです。君の好きな彼の声はこのキャラだよと喉まで出てましたがなけなしの理性で耐えました。私が死んだら遺品に残ってるから(多分発売されるだろうし、きっと買うし)思い出してくれるかしら。あの馬鹿母何聞いてたんだと・・
パターン化
★☆☆☆☆
流石に今回はパターン化している内容が気になりました。
以前はそれも良かったんですが、シリーズがここまで長く続くと、
それが目立ってきますね。これはいつまで続くんだろう。
新しい話で蓮川愛のイラストが見たいなぁ。ちょっと残念です…。
使い古しのネタなのに読んでしまう
★★★★☆
まさかこんなネタを使うなんて誰も思わなかっただろう。人気のあるシリーズだからこそ、読んでる方だって恥ずかしい。でも、面白かった。実は慈英はものすごくヤなやつだということが、これでもかというくらい描かれている。本の半分以上過ぎても、それが続いていたので、このまま戻らずに黙って「続く」かなと思ったが、ちゃんと区切りがついたのでほっとした。読み終わって、幸せな臣と慈英よりも、不安に揺れる臣と、そんな臣を冷徹に見つめる慈英が好きなのかもしれないと思った。もちろん最後は幸せになってもらわないと困るけれども。
読んでいるときに、頭の中には三木さんと神谷さんの声が響いている。このシチュエーションをあの二人で聞けるなら最高だ。泣きの入った慈英なんて美味しすぎると思う。
確かに哀情かも…
★★★★☆
慈英×臣、待望の書き下ろし新作です。待ってました!っていう感じです。 ここから少しネタばれですが、今までこれでもかっ、て程「臣さん」ラブだった慈英がなんと記憶喪失になってしまいます!それも、臣さんの事だけ全く覚えてなくて、とんでもなく臣さんに冷たいです。でも、まぁ冷たいのですが、ショックを受ける臣を慰める照映に無意識に嫉妬したり、八つ当たりしたりするお子様な慈英がいて、思わずニヤリとしてしまいます。ただ、臣はいつまでも思い出さない慈英を、諦めようとする場面や、慈英が自分を好きじゃなくても、自分は慈英を愛してる、というような場面もあり、臣は本当に哀しい位慈英を愛してるのだと思わせられます。 タイトル通り「哀」しい愛「情」ですね。崎谷先生は本当にタイトルが上手いと思います。そして、村で起こったある事件で臣が殴られるのを見たりして慈英は自分の気持ちを自覚します。その後、記憶喪失のきっかけの事件のフラッシュバックでのキィになる臭いで、少しだけ思いだしたりしますが、完全に思い出すのは臣とエッチした後寝顔のスケッチをしている時で、これは第1作の慈英が臣を好きなのだ、と自覚した場面とリンクしてたりしますね。こういう所も崎谷先生の上手な所だと思います。 でも、記憶がないところでの二人の心情にかなり頁を使っていて、思い出してからが駆け足になった感はありますね。あれだけ臣を泣かせたのだから、思い出してからのフォローにもう少し頁を使って書いて欲しかった気がします。
作品の後書きにありましたが、このお話は二人の恋のもういちどはじめから、のお話です。 そして、出会いのシチュエーションが違っても慈英はやっぱり「臣さん」に恋をするのだなぁ、と嬉しくなるお話です。
永久不滅な恋のお話が読みたい方、オススメです。