『きらきらひかる』や『落下する夕方』など多数の作品で、揺れる女性の内面と恋愛模様を描いてきた江國香織の短編小説集。淡く繊細な筆致でつづられた12編は、さらりとした読みごたえでありながらも、男と女の物悲しさを秘めたものばかりだ。第130回直木賞受賞作品。
満ち足りていたはずの恋に少しずつ影が差す様を描いた表題作「号泣する準備はできていた」、妻のある男性との濃密な関係がずれはじめる一夜をつづった「そこなう」など、当たり前にそばにあるものが静かに崩壊していく過程を、江國は見慣れた風景の中に表現してみせる。また、若かりしころの自分と知人の娘の姿を重ねた「前進、もしくは前進のように思われるもの」や、17歳のときの不器用なデートの思い出を振り返る「じゃこじゃこのビスケット」では、遠い記憶をたどることによって、年を重ねることの切なさを漂わせる。
各編の主人公は、もう若いとはいえない年齢の女性たちである。家族や恋人を持ち、同性の友人にも恵まれている幸福そうな生活の隙間に忍び寄る、一抹の不安やわずかなすれ違いは、誰もが経験したことがあるだろう。主人公の心境が「残りもののビスケット」や「捨てられた猫」といった身近なものに投影されるのも、江國作品の特徴である。決してドラマチックではない日常の瞬間を切り取った物語が、シンプルながらも美しくまとめられている。(砂塚洋美)
蓮佛美沙子さんオススメだけありました。すごかったです。
★★★★☆
「ダ・ヴィンチ」2009年7月号「あの人と本の話」で女優の蓮佛美沙子さんが選んだ本がこの本でした。1年後、ようやく読んでみました。すごい、と思いました。これは女性にしかかけない小説だと思いました。わずか18かそこらでこの本を読めてしまうなんて、女性しかできない、と思いました。
私は40代半ば、だからある程度は読みこなせるつもりです。同世代の江國香織さんにも感心しますが、蓮佛美沙子さんにも感心しました。女性は凄いです。
でもね、この小説に書いてあるような女性もいるでしょうけど、そうでない女性も多いですから、と、そんな事を蓮佛美沙子さんに言いたいなあ、なんて思って、まあ、そんな必要ないか、聡明な彼女なら当然わかってるし、なんて思ったりしました。
自分探しの女性の理想の暮らし
★★☆☆☆
短編集。
ここには「自分探しの女性の理想の暮らし」が書いてある。
泣いたり、男がいたり、男には他の女もいたり、自分には他の男がいたり、
海外放浪をする小金はあったり、自分は悲劇の中心だったり、
まだ汚れない、座ると胸がやっとテーブルの高さに届くくらいの
小さな姪がいたり、母親が出奔していたり。
太宰治みたいに読点をたくみに使って文章がかける自分がいたり、
これはこれでファンが多いのだろう。
「号泣する準備はできていた」の「木のない青い電飾だけツリー」
と言うメタファーは何のメタファーなのだろう。
ぼくには想像する資格さえなさそうだ。
江國香織さんは、ぼくにとって、憧憬する評論家
江國滋さんのお嬢さんと言う以外に何もなさそうである。
ビッチ
★☆☆☆☆
タイトルに惹かれて購入。内容の方は浅薄な物ばかりで、読むのすら億劫でした。
この手の物はやはり苦手です…。
なんだかよくわからないまま物語が終わってしまった
★★☆☆☆
著者の言葉を借りるなら、ひと袋のドロップのような短編集。
色や味は違っていても、成分はおなじで、大きさもまるさもだいたいおなじ。
恋愛の腐敗や崩壊を扱っている。
その人たちの生活のほんの一部分のみを切りぬいて、強烈に描写し、他一切は読者に想像させる。
こういった手法の本の中でも、これは特に描かれている部分が少ないと思う。
なんだかよくわからないまま物語が終わってしまった、というのが正直な感想。
時間をとってゆっくり読みこむと、また違ってくるのでしょうか。
個人的には幸せな物語が読みたかった
★★★☆☆
恋愛物の短編集。
全て女性が主人公で、ほとんどが人生の酸いも甘いも経験した大人の女性。
みんなそれぞれに悩みを抱えていて、大体が離婚に絡むものだったりする。
なかなかいい雰囲気の短編集ではあったけど、個人的には幸せな物語が読みたかったので、星3つ。
ワンドゥードル書房
★★★★★
短編集です。若かったり若くなかったり、幸せだったりそうでもなかったり、いろいろな女の子や女の人たちのお話です。どれもなんてことない話なんですが、なんとなく、ぐさりときます。何度もよみかえしても、何度でも、ぐさりと。
百合道白帯
★☆☆☆☆
12話中1話百合。
『熱帯夜』、秋美と出逢って三年、一緒に暮し始めて一年になる。何も不満がないくらい愛しているのに、何もかもが不満だった。同性同士だといつかぶつかる「行き止まり」という壁。こんなにも愛しているのに……。
短すぎるけど、こうゆうラブラブなカップル好きです。「たとえばいま大地震が起きて、私とあなた以外全員死んでしまうの。私とあなたしか残らないの。そうだったらいいのに(本文より)」こんな風な考え方もあるんですね。深い愛。「あいしてるあいしてるあいしてる」のセリフが好きです。有名な作家さんなのに、全然読んだことありませんでした。ハードと文庫、お好きな方をどうぞ。
「言葉芸者」の本の甘味処
★★★★☆
街中のそれぞれの人が、あとちょっと背中を押されたら泣き出しそうな現実を抱えて、それでも泣かずに生きている話。タイトルの秀逸さが光ります。
おさるさん書店
★★☆☆☆
短編集です。一つの話が20ページくらいなので読みやすいです。日常的なありふれた生活を視点に書いている作品が多かったです。発展する恋よりも終わりに向かっていく恋がよく題材にされていた気がします。
小説まにあ
★★☆☆☆
江國さんの小説は何もこれといった出来事が起こらない淡々としたものが多いですね。
これも違わず、何も考えたくないようなときに持って来いだと思います◎
旅の書店 睡蓮堂
★★★☆☆
12作の短編集で、人生観や恋愛感を女性の視点で描いたもの。短編集なので、細かな描写や不要な説明がない、さらりとした文章。感情を文章で表現する凄さと、それを理解する難しさ。自分は読解力がないなぁ~と素直に感じました。基本的に、女性の視点という時点で理解不能だろうし・・・。直木賞受賞作。
わたしがであったことばたち。
★★★★★
猫は毛なみがよかった。あしのうらがひんやりとしていた。
taniの書店
★☆☆☆☆
直木賞受賞作。私にはこの作品の良さが理解できませんでした。読み込みの差なのかもしれませんが。
大福堂
★★★★☆
噛めば噛むほど味の出るスルメのような作品かなあと思いました。一回目はごくサラリと読めてしまうのですが内容を振り返ると様々な意味があることに気付かされ、気が付くともう一度読み始めていました。時間のあるときにでもまた読み返してみようかと思います。
キャラメル・ラテ
★★★★☆
某大手書店の書評に、読んでいて哀しくなる、著者は幸せを知らない人だ、とあったので、買ってはいたものの手にとるのが遅くなりました。でも、どの話もそれなりの幸せが底にたゆたゆと流れているお話ばかりでした。ちゃんと理解するにはもっと読み込まないといけないと思いますが。
悠々堂
★★★☆☆
直木賞をとりました、短編集です。江国さんの短編はあまり得意ではなかったのですが、これは割と好きになれました。特に好きなのが「じゃこじゃこのクッキー」。すでに結婚している主人公が、17歳のころを回想するストーリー。身につまされます。でたらめばかり信じる17歳。私なんていまだにでたらめばかり信じる21歳です。う~ん。成長しなければ。
木漏れ日の公園
★★★☆☆
★★★少しでも前進しよう。たとえいつか号泣するとわかっていても。直木賞受賞作、ファン待望の文庫化!
◇◆季鈴堂◆◇
★★★☆☆
◇少しでも前進しよう。たとえいつか号泣するとわかっていても。直木賞受賞作、ファン待望の文庫化!
ビタミン☆Shop
★★★☆☆
第130回直木賞受賞作。
ももさん書店
★★★★☆
最近好きな江國作品。何か登場する女性達が、繊細でかわいらしくて、ほっそりしてて。。。憧れます。
ねこまた庵
★★★★★
少しでも前進しよう。たとえいつか号泣するとわかっていても。直木賞受賞作、ファン待望の文庫化!