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日本の歴史〈1〉神話から歴史へ (中公文庫)

価格: ¥1,300
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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今でも優れた一般向け歴史書 ★★★★★
まず、本シリーズのリバイバルを喜びたい。流石に考古学的な発見は、後代が先代を勝って当たり前だが、そもそも、「歴史的事実」とか「歴史」というのは、目の前に転がっている石ころではなく、すでに書いている歴史家の「思想」なのだ。フーコーやアナール学派のマネかどうか知らないが、読み辛い記述で、読むに耐えない文章のものが近年多すぎた。その点、このシリーズ、わけても第1巻は、叙述も見事で、このシリーズの中でも白眉だ。特に魅力的なのは、「日本書紀」「古事記」を読み通すことで、底辺に感じられる事実の痕跡を探ろうというその姿勢だ。「政治的な配慮」から工作された史書だという決め付けの議論は、そもそもその裏づけになる事実が十分でない現在、皮相なうがった見方に過ぎない。マスメディアも無く、識字率も低い古代に、古人が嘘やはったりばかりかましていたとは思えないからだ。ただ、放射性炭素の測定で、土器の年代が1万年前を示すところで、絶句してしまう著者の想像力は、やはり時代的限界を感じる。なぜか知らないが、日本古代史は、紀元元年より古くに統一的な政権があることにやたらと慎重になるようだ。縄文時代の先進性が次々に明らかになる今日、政権の紀元が紀元前7世紀であってもおびえることは無いと思う。つまり、或る意味、「書紀」の記述は妥当だ、ということもあって良いと思う。
1965年からの日本史ブームに火をつけた名著 ★★★★☆
戦後の日本古代史研究を牽引した一人である井上光貞氏が、1965年に著述し、日本史ブームに火をつけた名著。現在も版を重ねる岩波新書の「日本国家の起源」で提示した内容をさらにかみくだいてわかり易くし、それ以外の内容も含めて詳細に叙述している。出版後の考古学や古代史の研究成果は目覚しく、現在ではこの書を基本書とするわけにはいかないが、考古学や神話学などの他領域の学問成果との連携の仕方、視野の広さ、重要な学説を紹介しながら自説を展開する叙述方法などにより、それまでの古代史の研究状況を十二分に堪能することができる内容となっている。ただ残念なのは他のレビュアーの方も書いておられるが、改版にあたって現在の学問水準と比較して、現在でも有効な視点は何かを解説に期待していたが、森浩一氏の回顧録になってしまったことである。1965年の著述としては星5つであるが、基本書としての価値がやや薄れたこと、解説が期待はずれであったので星4つとした。なお最近出版された佐伯有清氏の岩波新書「邪馬台国論争」の中で、考古学者の小林行雄氏が内容にクレームをつけた話がのっている。興味のある方は合わせて読まれるのも楽しいかもしれない。