無用のことながら
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私のような人間がいまさら説明するまでもないほどの名作です。
司馬さんの作品の中でもトップクラスの面白さですので、司馬さんファンなら是非読むべきでしょう。
壮絶すぎる人間ドラマです
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面白すぎて、無我夢中で読みました。
1,2巻は、斎藤道三編。
斎藤道三が坊主の身から還俗し、野党崩れから京都有数の油商人になり、さらには美濃一国を乗っ取るまでの物語。
3,4巻は、織田信長編。
桶狭間の戦いで今川義元を相手に劇的な勝利を収める。その後、斎藤道三,斉藤義竜なき美濃を手中に収めてから破竹の勢いで京都に上洛し、やがては本能寺の変で倒れるまでの物語。
志半ばで倒れる斉藤道三の無念。
その斎藤道三の意志を引き継いで、天下に号するまでに至りながら、家臣の明智光秀に背かれて命を終える織田信長。
壮絶すぎる人間ドラマです。
人生に残る永遠の傑作。
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僕は、本を読むのが好きで、今まで、沢山の本を読んできました。
(高校の頃は、授業中でも、本を読んでいました・・・。)
しかし、これほどまで、熱中して呼んだ本は今まで無かったです。
それほどまでに、司馬遼太郎の筆はカリスマ性を持っているのです。
司馬遼太郎の作品は、物によっては、ずいぶん資料的な雰囲気を持った難しい物もありますが、「国取り物語」は、中学生でも理解できる位、シンプルな分かりやすさがあります。
おそらく、道三の資料が少なく、ほとんど司馬遼太郎の創作のためなのでしょうが。
しかし、その分、この天才的作家の才能が発揮されている一冊と言えるのではないでしょうか?
これを読まずに司馬遼太郎を語って欲しくない。
それほどまでの傑作です。
道三の歴史的価値
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司馬氏は、日本の中世から近代へかけての分水嶺になったというにも相応しい道三の軌跡を見事に捕らえたと思う。道三は、軍政においては機動的な専任軍官制の導入により中世型の半士半農的な勢力を覆し、経済面においては楽市楽座を推進し寺社権益勢力を中心としたこれまた中世的な閉塞型の地域経済を一掃し自由な広域型の商品経済をもたらしたと言える。それらは歴史トピック的な社会変革と言うべきものであって、国家統一へのカンフル剤にもなり、信長以降へ受け継がれた。
・・・本書が「歴史経済」の観点からも読む価値があるやに聞き、期待しながら読み進めたところ、結果として、司馬氏の着眼力にはまってしまった感じだ。
司馬氏が描く道三の人間的魅力にも彩られて、彼の放つ異才が臨場感あふれるように伝わってきたし、総じて興味深く読むことができた。
時代の変革者たり得る者
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交易や交通の自由化を図った斎藤道三と織田信長は、日本の近代化の魁とも言えるだろう。時代の変革期、それまでの既成概念や制度を改めるには、彼らほどの際だった個性がなければ、それらがなされないと言うことを本作品は示唆しているのかもしれない。
私が受けた歴史教育では、延暦寺の悪逆無道さに目を向けず比叡山焼き討ちを扱ったがために、信長像が歪められてしまったように思うが、本書を読めば、信長側の理も理解できるはずである。
単にエンタテインメント性のみを求めても、十分楽しめる作品である。
(これは1〜4巻を通してのレビューです。)