タイトル通り、まさに秘密の花園
★★★★☆
穏やかに進む1、2巻に比べ3巻では雫石の中で少し変化、というか気持ちの動きが露見します。
何かが劇的に変わったというよりは、最初から心の奥底にあった感情が、ようやく表にでたとうか。
ただそれにきちんと向き合う雫石はやはり強いですね。
作品の1ページ1ページに散りばめられた、はっと息を呑むような綺麗な描写、優しい言葉、そして時には耳を塞ぎたくなるような
(本の場合は目を瞑りたくなる、ですかね)鋭い言葉や感情表現にひたすら引き込まれました。
日常で生活していると、ふとした瞬間に、自然の美しさや残酷さに気づくことがあります。
優しさも厳しさもある。作品に散りばめられた吉本ばななさんの「言葉」自体がまるで自然のようです。
山へ行かなくても都会には都会の自然があるんですね。
花や緑という意味ではなく、「人を癒すもの」としての自然なら、都会ではそれは人間なのだなぁと思いました。
よしもとばななさんに回復の兆しがみえる作品。
★★★★☆
みんな急いでいる、無駄にエネルギーを使っている。それは、エネルギーはすぐに充電できるという幻想を持っているからだろう、と思えた。そのことによって、人生の主導権を時間や周囲に与えてしまっている。。。そんな奇妙な世界があるみたいだ。
なるほどなあ〜〜と思った作中の文章であります。
癒される
★★★★★
癒されました〜
1巻とこの3巻を読んで、サボテンを買ってきました。
サボテンは、植物の中でも、稀に見る心のキレイな精霊さんらしい。
本いわく。
でも、本当にそんな感じがヒシヒシ伝わってくる内容だった。
「王国」シリーズ、第三弾!主人公の雫石の心の旅。
★★★★★
「王国」シリーズにはいつも、心にしみる言葉がぎっしり詰まっている。
特に、現代を生きる、やわらかくて傷つきやすい繊細な心を持った人々に、
そうっと寄り添って、じわりと癒してくれるような、
そんなお話だ。
ひとつのものがたり(:人生)ともうひとつのものがたりが重なり合う部分・・
その美しい色合いを、丁寧に描きだす・・
やさしい色彩で、繊細に、愛情豊かに。
今回は・・予想外の展開(雫石の失恋!)はもちろんのこと、
「高橋くんの庭」がとても印象的だった。
その庭が持つ、人の心を動かすあの魔法・・
その魅力にとりつかれるある法則を、
実はきっと私たちたちはいろんなところで目にしているのだろう。
そして私にとって、この小説こそがまさに「高橋くんの庭」のような、
すばらしい世界なのでした。
それと・・とくに今回は、
ばななさんの肉声が迫ってくるようなメッセージが
たくさん詰まってました。
雫石のことばで語られてはいるけれど・・
ところどころ、ほんとにばななさんの声を聴いてるみたいな感覚になった。
ばななさんの世界観は、いつもびっくりするほど、
私の感性にしっくりくるのです。
そこには私にとっての真実が、見事に表現されているのだ。
そして、「王国」シリーズを読み終えた後にいつも感じる、
あの大きな安らぎとかあたたかさ・・
生きることの痛みや苦しみにそっと手をかざしてくれるような。
それは私にとって最高のプレゼントの1つだ。
そのプレゼントとは・・ことばにしにくいけれど、
それはきっと、ある種のエネルギー。
生きる原動力につながってるもの。
壊れやすくてはかなげでいつも形が変化してて、
もちろん目には見えないし、油断するとすぐ姿を消してしまうけれど、
心の目を開いてるときにはそれがありありと感じられるのです。
いつも手元に置いておきたい一冊です。
自然の光で
★★★★★
その作品に出会うことによって、多くの物を吸収し、自分が豊かになれる小説があるとしたたら、この王国3部作はきっとまったく逆の作用を読む者に与えてくれている気がします。色々身にまといすぎ、自分の真ん中が解らなくなってしまっているときこの作品をよむと、一枚一枚不必要な物を溶かしてくれて、なんだか楽になっていきます。
電灯の光ではなく、日の光の下で、できれば小春日和のやわらかな日差で照らされたページを読むのが正しい気がします。 そんなイメージの作品です。