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思考する言語〈中〉―「ことばの意味」から人間性に迫る (NHKブックス)

価格: ¥1,218
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本放送出版協会
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絶好調の議論が展開される中巻 ★★★★★
 上巻で示された問題意識や枠組みに基づいて、ますます視野が広がり、また考察が深まるのが本巻である。
 第四章では、カントなどの哲学を援用して「物質」「空間」「時間」「因果」という生得的カテゴリーが人間の思考・認知に深くかかわっていることを確認し、またそれが品詞や時制などの言語カテゴリーと対応することを論じる。
 第五章では、メタファーをとりあげる。生成文法と対立的とみなされがちな認知言語学で取り上げられるメタファーを正当に取り上げ、認知・言語をつなぐものとして、そのメカニズムを詳細に議論する。単なる「生成文法対認知言語学」といった二項対立を超えた、充実した科学的精神に貫かれた議論がなされる。
 第六章では、「命名」を通じて、社会的関係にまで話は広がる。極めて抽象的・ミクロなレベルから、非常に広範囲な社会まで縦横無尽に、またユーモアと適切な事例に彩られた、ピンカーの筆も冴えわたる、知的興奮が味わえる一冊だ。
メタファーや名前のメカニズムを考察する中巻 ★★★★★
上巻では言語から空間、時間、因果といった思考を構成する基本要素の存在を明らかにしたが、(前半は上巻の続きのような内容もありつつ)中巻はそれらの応用編でありメタファーとは何か、メタファーはなぜ有効なのか、とか新語はどのようにして生まれるのか(=世界のどの部分が言葉として選ばれ切り取られるのか)とか名前の流行り廃りのメカニズムなどを具体的に考察する。抽象的な話が続いて難しいかもしれないが、対象がより日常に関わるということで、読み物としては中巻のほうが面白いかもしれない。筆者はまだよくわかっていない対象に対し深く考察する哲学的思考とちゃんとそれを検証する科学的思考の両方が備わっていて、こういう姿勢は非常に頼もしく、好感が持てる。