皮肉にもエレクトロニカのルーツには、少なくとも表面的には正反対の2組のドイツのバンドがある。そのひとつであるカンは、シュトックハウゼン仕込みのトランス状態の即興演奏によるあいまいなサウンドを提唱した。もう一方のクラフトワークは、けがれのない機械的なグルーブを、隅々まで明確にコントロールすることにこだわり意のままに操った。だが、そんなクラフトワークのもっとも機械的なサウンドでさえ、1977年リリースの本作を聴けばわかるとおり、機械に魂を吹きこもうとしている。マネキンの宣言である「Showroom Dummies」はこの1曲だけでも金を払う価値がある。テクノロジーと深く結びついたバンドであっても、その音楽が20年以上たっても新鮮さを失わないことをラルフとフローリアンは本作で証明している。（Bill Forman, Amazon.com）