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温泉主義

価格: ¥3,360
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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温泉の薀蓄はありません。どこを切っても横尾氏がでてきます。 ★★★★☆
タイトルからして横尾氏はさぞかし温泉が好きなのだろうなと思わせて、ところが冒頭いきなり「ぼくは温泉がニガ手である。」とくる。いきなり脱力です。しかしこれが横尾氏なのです。団塊世代を対象にしたフリーペーパーに記載するための紀行文を引き受けたのがきっかけで各地の温泉地をモチーフにした絵を描くことになったという。ほぼ一ヶ月に一度日本各地の有名どころの温泉地を巡っている。草津、下呂、有馬、修善寺・・・・。だから温泉の効能とか入り方だとかはまるで素人で薀蓄などこれみよがしの披瀝がなく、導き手としてのM氏が横尾夫妻をガイド役あるいは仕切り役を務める寸法です。横尾氏はただただ導かれるままです。このあなたまかせという行き方がいい。なんでこんなところにいるんだろうという、これが横尾氏の味になっている。ところが氏の絵はけっしてあなたまかせの絵ではありません。温泉地で発見したY字路をモチーフにした絵画をものにしていくのだが、各地の温泉地を題材にした絵が挟まれていてどれもやはりスゴイ。なんというかパワーがあります。気持ち悪いといえば気持ち悪いといえないこともないですが、あの世とこの世を繋いでいるような絵です。横尾氏が何かに憑依されて描いたのではと思わせるような画風です。霊体験もしばしばされていると聞きます。でも横尾氏の絵は観る者を無理やり引き込んでいくパワーがあることは間違いありません。で温泉なですが、回を重ねるうちに温泉のよさを悟って横尾氏がノッテくるのがまた面白い。文章もまたやはりゲイジュツカのなせるワザがあってなかなかの妙味があります。なにせ若いときにイヤイヤながらこれも人に誘われて坐禅修行した御仁なのですから(『我が坐禅修行記』)。
旅の遊蕩感と著者の絵は響きあう ★★★★☆
ぼくは温泉がニガ手である。という書き出しで始まる本書。温泉を訪ねて書いたエッセイと絵画。

インスピレーションを受けて絵にする過程が興味深い。温泉よりも、むしろ著者に興味がある人におすすめ。

文章を読むと、(ゴーストライターが書いたものではないとすると)頭は良さそうだ。失礼ながら、意外とまともそう、と思う。しかし神秘主義的な考えがそこここに顔を出す。

夫婦で写った記念写真も多数。なかなか派手な奥さん。