26人もの共同執筆者で失敗した本だ
★☆☆☆☆
私が読んだことのあるベネディクトの『菊と刀』をはじめ、数編を読んだだけだが、無味乾燥な書き方にウンザリした。多くの執筆者の個性をすべてつぶしてしまったような味気のない文章が並んでいる。客観的であろうとして、百科事典のような書き方をしている。内容は正確だとは思うのだが、これでは一冊読み終わるのにはかなりの忍耐力がいる。
私は、自分でもタイプ打ちのダブルスペースで50枚ほどの『日本人論』をスペイン語で書いて、スペイン滞在中は、スペイン人に好評であった。『和』を基本概念として日本人の言動を分析したものであった。本書には、そういった核になる視点がない。だから、読んでいても退屈してしまう。
事典として使うのなら、有用だと思うが、一冊をはじめから終わりまで読む気にはなれぬ。
以上、私の主観で評価した。他の人が読めば、全く異なった評価もあるかも知れない。しょせん、他人の評価なぞ、あてにできないものだ。