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トリアングル (中公文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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不倫経験者にしか書けない描写 ★★☆☆☆
これは作者の私小説以外の何物でもないと思う。
でなければ、この小説の存在意義と、結局何が言いたいのかがわからない。

不倫相手Mの美化された描写、主人公の言い訳・強がり、Mの妻への密かな優越感、
そしてMとの関係を「おいしいとこ取りの居心地が良い恋愛」と肯定する主人公。
実はそれは虚構と幻想に過ぎないのだが、彼女は気づかない。
あくまでも自分に都合良く考える。そこに罪悪感が全くないのがすごい。
自分が良ければそれでOK・バレなきゃ問題ない・バレない努力は奥さんのためにしてやってるのよ、と。

読んでいて苦笑モノなのに、作者は本気で真面目に書いているところが何ともいえない。
Mが主人公を選ばず妻とも別れないことが全てを物語っているのに、そこはスルーで。
もう一人の男・圭ちゃんも「不倫してる30代女性でも言い寄ってくる年下男もいる」と言いたいために
登場させた感じで、性格も子供っぽく、結局はMの引き立て役みたいな役回り。

リアルさなら、Mの立場(不倫男性)から書いた林真理子の『ミスキャスト』のほうが遥かに現実的だ。
でも不倫中の人は読むと勇気づけられる内容だとは思う。
短歌はないほうがよかった気がした。
世間が冷淡すぎる ★★★☆☆
 いい私小説である。33−34くらいのライターのヒロインが、25歳くらいの時からつきあっている妻子もちのカメラマン、そして7歳年下の男ともセックスを始めてしまい、結局カメラマンとの関係を重視して若い男とは別れ、独身のままカメラマンの子供を生もうかと決心するという話で、作者の実体験を変形したものだろうし、カメラマンも特定できる。解説の松尾スズキも、実話というふうに読むべきでないというようなことを書いているが、実話ベースに変形したもの、でいいではないか。しかもヒロインの郷里は福井になっているし。素直に私小説として読むべし。ちょっと食事と酒に関する描写が多いのが気になるのと、セックス描写があっさりし過ぎているが、新聞連載だからしょうがないか。この後別に小説を書いていないが、俵万智にはもっと小説を書いてほしいと思う。世間、冷淡すぎる。
随所に短歌がちりばめられ「俵 万智」の小説です ★★★☆☆
最近「短歌」に興味があり何冊か読んだが、俵 万智さんの作品に共感する物が多く、俵 万智さん本人に興味がわき起こり短歌ではない小説を読む事にした。
そして衝撃を受けた。

小説の内容は妻子ある中年男性と不倫関係を長く続けながら、年下の男性とも関係をもち、結局妻子ある男性と落ち着く…と言うよくありそうな内容で期待以下のもの。
巷に溢れていそうな下世話な話。
ただ短歌は随所にちりばめられているので、そこの部分は短歌に興味がある自分には良かった。

想像以上に性描写も大胆な気がした。
なによりご本人がシングルマザーである事を私は知らなかったので、もうびっくりなのである。それを知った上で小説を読み返すと「実話?」な〜んて思えてきて、そんな事を考える自分がなんと下世話な人間なのかとも思われて悲しい。

年齢よりも考えることが古くさい私には、すぐには受け入れがたいものだけど、「人生いろいろ」それもあり!なのだろう。
ただの恋愛小説ではなく、一つの人生観が見える ★★★★☆
2006年11月に黒谷友香主演の『短歌』というタイトルで
映画化された作品。

物語中、結構頻繁に短歌が挿入されている。
まあでも面白さは短歌にあるというより、ストーリーにある。
よほど短歌が好きな人以外には、短歌はスパイスというか付録というか、
そういう役割をするものだろう。

35歳の薫里が主人公。
45歳のMと不倫8年目に入った薫里が、
27歳の圭ちゃんとの交際を始めて…という話。

薫里の友人である美佳との会話や母との会話や本人の心の描写などに、
35歳ならではの様々な思いが描かれる。
特に最後の子供を欲しいのか別に要らないのかといった葛藤は、
何とも言えない魅力を感じる、
そして結論が出ないところもまたこれいいのかもしれない。

物語の展開だけではなく、主人公のものの考え方のようなものにも引き込まれ、
一気に読み終えてしまった。
まあ展開的には普通の恋愛小説といってしまえばそうかもしれないが、
こういうのを読むたびに、
本当にこういう経験をしている人は世の中にどれくらいいるのだろうと、
社会人なりたての28歳の私は思うわけである。

もちろん映画は見たくなるし、
俵万智の他の作品も読んでみたくなるような作品でした。
古典文学のように ★★★☆☆
短歌が随所にちりばめられ、小説と短歌のバランスが絶妙でした。
このあたりはまるで古典文学のよう。
文章だけでは描ききれない心情が短歌で見事に表現されているんですね。

この作品ではタイトルどおりの三角関係を描いているわけですが
文章の淡白さとはうらはらに
濃密な恋愛感が語られているように思われます。
かなり私小説的な部分もあったのではないでしょうか。
この作品の主人公のような恋愛感を否定する人も多いでしょうが
意外と共感した人も多かったのではないでしょうか?
私は共感したひとりです。