中国通史
★★★★☆
長い長い中国の歴史を、殷の時代から清朝滅亡まで描いた作。
なお、清朝滅亡までなので必然的に中華民国や現代中国の話は出てこない。
内容はと言えば、コンパクトに上手くまとまっているのだが、書き方がやや淡々としている。
まあ通史だから仕方がない話だが。
最後に年表がまとまっているのはよかったが、もうちょっとまとめ的な内容(時代と王朝の系譜図的なものとか)があるとなおよかった。
中国の歴史入門として読みやすい
★★★★★
史記に載せられている五帝に始まり、清の滅亡まで描かれています。
物語とありますが物語性はほとんどなく、平易な文章でわかりやすく記述されています。
新書一冊ですので、表面的であまり深入りはしていません。
著者によれば、この本は文明の記述に力を入れているそうです。
おそらく中国の歴史書における歴史の記述がメインであり、現代における発掘や研究などはあまり参考にされていないのではないかと思います。
それでも、有名な学者による歴史書を元にしているそうなので、中国の歴史に興味がある者にとってはとても参考になり、理解しやすい本です。
シナの長所とその限界が両方わかる
★★★★★
シナの歴史を大づかみできる本、
各王朝やその時代の特徴を端的に説明してくれるのがとてもよい。
ページの所々に、著者の考察があるのだが、結構刺激的だ。
かの地の報道や言論は、基本的にポジショントークだ。
しかも、別件を暗に批判するために、関係ない当て馬をこき下ろすこともあって、
言っていることが正しいのか、言いたい事かもわからない。
そのうえ、権力がモノを言うから、事実なんてどうでも良かったりもする。
ということで、シナの歴史の下すもろもろの評価についても、
眉に唾して聞かないといけない。
著者が言うように、中華文明の保持者は知識人層だ。
シナの歴史は、彼らの価値観に合致したもの=良いことと判断される。
知識人にとって不利益だけど農民など貧乏人に良いことや、
女性や子供の利益も評価されないおそれがある。
漢の武帝とか康熙帝や乾隆帝みたいな、
高評価の人物が中国史上何人かいるけれど、
それは単に、彼らは知識人の好みに合致しただけで、
文字のわからない貧しい人たちの怨嗟を浴びていた存在である可能性も否定できない。
筆者の愛情が感じられる中国歴史の入門書。
★★★☆☆
「史記」に刺激されて中国の歴史に興味を持った。古代から清が滅びるまでの歴史の入門書である。「三国志演義」で有名な曹操の名誉回復を図るなど、筆者の歴史学者としてのこだわりが随所に感じられる。最大の特徴は革命後の現代史には言及されていないことだ。この書が儒教中心で中国を捉えていることによる。ここにも筆者のこだわりが感じられる。筆者は中国が大好きなんだろう。少し、教科書的な印象を受けるが、この厚さではしかたないだろう。中国の歴史を概観したい人にお勧めの一冊である。
長~い歴史をマクロに通観
★★★★★
言うまでもありませんが、中国の歴史は日本や欧米各国に比べて物凄く長いです。その中国史を1冊の新書で扱うというのは、ある意味で途方もない企てですが、本書はそれに成功している稀有な書物の一つと言えます。その秘訣は?
1.中国史のターニング・ポイントを的確に把握し、歴史の山や谷を押さえたメリハリの効いた記述になっています。
2.王朝ごとに区分される各時代について、それぞれの世相の特徴や制度発達の意義などを骨太に提示しています。
3.マイナーな固有名詞を大胆に切り捨て、読者の不必要な負担を軽減しています。
初学者の方が中国史の「流れ」を大づかみに理解する上で理想的ですし、中国史ファンの方にとっても、時折アタマの整理をする上でたいへん役に立つ本だと覚えました。