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クレオパトラ〈上〉 (新潮文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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宮尾せんせーい、頼みますよ! ★☆☆☆☆
嗚呼(涙)。
宮尾作品を全て所蔵し、読後は必ず脳内会話が「宮尾調」になり、文章は文語っぽくなる私ですが。
これは失敗でしょう。駄作、と言っても良いかもしれません(涙)。
宮尾文学の特徴である語り口、女性の描き方がクレオパトラとは超ミスマッチ!
なんだか「クレオパトラ」という題の浪花節を聞いた感じです(涙)。

また、これは言いたくなかったんですが、「蔵」からこっち、「天涯の花」「仁淀川」と、お年のせいかかなり文章力が衰えておられます。
宮尾先生独自の丹念な書き込みを、一字一字彫り込むように読み上げるのが楽しみだったのに、最近の作品は体力が落ちたのか、「プロットのまんまー」発表されている印象です。「蔵」は盛り上がるだけ盛り上がって、後半はいきなり「あらすじ」で終わってしまうし。
「天涯の花」は全体がプロットでできている感じで食い足りない。
「仁淀川」は物凄い期待で読んだのですが、これまた掘り下げ不足。「櫂」くらいの書き込みがあっても良い内容なのに・・・。
なんだか”薄さ”が林真理子に近づいているような。大大大ファンとしては悲しくてなりません。
でも、もうお年もお年で、まだお元気で書いてくださっているだけでも感謝しないといけないのでしょうね。
作家、画家、音楽家、舞踊家、料理人、どんな職業でも年齢による衰えは避けられません。
肉体を酷使する舞踊家などのピークが早いのは勿論、料理人も50代を過ぎると味覚が鈍くなったりしますもの。
作家と画家は比較的息が長いように思いますが、やはり60代がピークなのでしょうか。

でも宮尾先生、まだまだ私はついて参ります。ゆっくりでいいですから、寡作でも我慢して待ちますから、宮尾文学ここに有り!な作品をお願い致します!
ちなみに、「義経」「宮尾平家」は読んでません・・・辛くて(涙)。
クレオパトラ贔屓が過ぎるかな・・ ★★☆☆☆
1993年10月から1996年3月まで、朝日新聞日曜版に連載された小説です。当時、ティーンエイジャー(笑)だった私は、クレオパトラを取り巻く愛欲憎劇を毎週楽しみにしていたものでした。でも、「素晴らしい小説」だとは思わず、何となく、自分の求めるものと違う気がしていました。

歳月を重ねた今、再読しましたが、やはり私はこの小説は好きではありません。クレオパトラの思考が、私のものとかけ離れすぎているからです。時代や立場もありましょうが・・・。

なぜ、国を統べること=強国の英雄を女性の武器で取り込むこと、になってしまうのでしょうか。なぜ、感情的に出兵するのでしょうか。なぜ、統治すべき自国を数年も離れて、ローマで愛妾生活に甘んじるのでしょうか。なぜ、今の男の前で「前の男(シーザー)はこうしてくれた・・」と言うのでしょうか。ちょっと、共感しづらいところが多々あるのです。

このような姿態を描くことで、クレオパトラを普通の女性と認識させるのであれば、一定の成功であると思います。でも、これでは国娼と言われても仕方がないのでは。お金と美貌がなければ、女王のオーラが無さそうだなあと思ってしまう。

そして、全体的にクレオパトラ贔屓が過ぎるきらいがあります。周囲の人物の素晴らしさ、歴史に遺した功績を軽んじられている気がします。オクタヴィアヌスの人物描写では、功績の欠片も感じられません。オクタヴィアヌスが、こんなに狡猾一辺倒に描かれるとは・・。

歴史小説というより、肉感的クレオパトラ像を楽しみたい時にお勧めです。
歴史に不勉強な私で恥ずかしいですが。 ★★★★☆
この作品は個人的に私は好きです。批判的に思う方も いらっしゃるかも知れませんがクレオパトラの歴史的な部分というより全く別な意味で1人の女性像として解釈して読んでも好いかと思います。一般的にクレオパトラの歴史を理解されている方には憤慨されるかもしれませんが。不勉強な私は非常に解りやすく作者の訴えている思いを察したいと思いました。女性の心情として胸打つものを感じました。よい機会として改めて別な方が書かれている作品も拝見したいと思います。
クレオパトラは普通の女の子? ★★★★☆
カタカナの、しかも短くない名前の登場人物がたくさん出てくるので、
はじめは、正直、読みすすめられるか心配でした。

でも、読み始めたら、クレオパトラという、歴史上の、しかも古代エジプトの
女王が、とても身近に感じました。
歴史文学、として読むにはどろどろしています。
ピラミッドの壁画のように2次元のイメージのクレオパトラが3次元のイメージになる、生き生きと、あたたかい体温を持った一人の女性として、その吐息を感じられるように描き出す、宮尾登美子さんの筆力に圧倒される作品です。

神秘的な人物、クレオパトラ ★★★★☆
「絶世の美女」「エジプトの魔女」「世界三大美人の一人」「鼻があと5センチ高かったら(低かったら?)歴史が変わっていた」
歴史上には、実在ながらも資料が少ないためか、あまりに数多くの伝説に彩られすぎて、本当の姿がなかなか見えてこない人物がいます。クレオパトラはその代表的な一人ではないでしょうか。

本書では、14歳の少女時代からローマとの戦争に敗れ自決するまでのクレオパトラ、女王として周辺諸国との政争に明け暮れ、女性として母として恋愛に悩み子供の成長に心を砕く姿が、古代のエジプトとローマの風景と風俗、歴史を動かした人物たちとともに、いきいきと描かれています。

かと言って、本作を読めばクレオパトラの本当の姿がわかる!などと言うつもりはありません。伝記でなく、あくまで小説ですので、作者の好みも反映されているだろうし、想像・創造も入っているのでしょうから。一人の作家の描いたクレオパトラ像、古代エジプトを舞台にした歴史小説・恋愛小説として読んだほうがいいでしょう。

この作品を読んで、クレオパトラや古代エジプトにますます興味がわきました。これから関係のある本や巻末に載っていた参考文献などを読んで、自分なりのクレオパトラ像を築き上げていきたいと思っています。