現代版、カミユ、サリンジャ
★★★☆☆
全体を通じて透明感がある、
純粋でありつづけられる特別な場所は前線が似つかわしい。
現代版のカミユ、サリンジャーってとこだろうか。
とても青白く、冷たく尖った美しさを感じるが、新しさは感じない。
何とも不思議な感覚
★★★★☆
映画を観てから興味がわき原作を読ませてもらいました。
映画とは違うラストに驚きました。
話自体は淡々と日常を描いており特別な山場があるわけでもないのですが、なぜか引き付けられるというか、ずっとこの世界にいたいという感覚になりました。
空中での描写と地上での描写のギャップは非常に面白いと感じました。
時系列でいうと本巻が最終ということですが次巻以降どういう展開になるのか非常に楽しみです。
一気に読むのはもったいないけど、ちょっとづつでは物足りない・・・
難しいところです。
星の王子様・暗黒篇
★★★★★
パラレルワールドの戦後、みたいな世界観がほのめかされていますが、シリーズをすべて読んでも全体像ははっきりしません。設定マニアみたいな人には考察する楽しみがあるでしょうが、展開が遅いので、じれったいかもしれません。
本作は時系列上は最後にあたりますが、単品で読んでも問題ないと思います。シリーズ全体では草薙水素という女性の青春と終焉を描いた、という感じでしょうか。
映画が公開されたので、この本から、森先生の著作を知りました。
映画と比較すると、押井監督と森先生の人間に対する見方の違いがわかり、興味深いです。押井監督は子供にとくに愛着があるわけでないようですが、人間の描きかたは森先生よりだいぶ優しいようです。一方で森先生の人間観は引用された著作の文章と併せて読むと全く優しくありません。人間の成熟などに価値はない。それだけです。
三島由紀夫の『午後の曳航』、あるいは『星の王子様』をとことんダークしたような感じでしょうか。
終わりと始まり
★★★★★
きっかけは知人の奨めで映画を観た事から。映画を観てから読んだので、読み始めは映画のイメージが影響して函南の視線からの追体験をしてる様でした。結末が映画とは異なるので、ここで草薙水素に興味を持つか持たないかで次作「ナ・バ・テア」に読み進むヒトとそうでないヒトに別れると思います。
本作が刊行順では最初とゆうこと、映画と同じタイトルであるとゆうこと、なにより刊行当時のリアルタイムの読み進め方を知るなら、やっぱり「スカイ・クロラ」をまず読んでみないと。そう思って手にしたワケなんですが、結末やササクラの設定、クサナギとカンナミの展開、言葉のニュアンス等‥。映画とは似てるものの、多少の相違点も踏まえての追体験でした。
読み進めていくに従って、多少の相違点の積み重なりが、映画との根本的な違いを際立たせてゆきます。一言で云うなら、物語の奥行きとか背景の拡がりの様な‥。語られていない何かを巧みに行間に忍び込ませて、表面上は淡々と進んで行く様にして‥‥。
エンディングに対する反応はヒトによって分かれるかも。この時点で原作のクサナギに惹かれていた私は過去のクサナギを知りたくて仕方がありませんでした。時系列順では最終話ですが、始まりの物語でもあると思います。シリーズを通して読み返したとき、本当の意味での終わりを知る事が出来る筈。「スカイ・クロラ」の醍醐味はそこにこそ在ると思うのです‥‥。
終わりをめぐる
★★★★★
戦闘機のパイロットである主人公。飛行機に乗るのが日時。人を殺すのが仕事。2人の人間を殺めた手でボウリングもすれば、ハンバーガーも食べる。死は生の対局ではなく、生は死の一部として存在しているのではないのでしょうか。
「自分の人生とか、運命とかに、多少は干渉してみたい。月並みだけれど、それが、つまり、人並み。わかる?人並みだよ。私たちって何?人間だよね?違う?自分の死に方について考えるのが、人並みなんだって、そう思わない?」