女でありながらも、弱々しさを他人に見せたり、ましてや甘えることなどできず、常に虚勢を張り続け、背筋を伸ばしてキリリとしていなければ、生きて行けない哀しい女たち。心の中にはいつも、一種のあきらめと空しさが渦巻いている。にも関わらず、いつしか同じ性(さが)を持つ相手を愛し始めてしまう二人。異性を愛する甘さとは逆の、ものすごい切なさが胸に染みた。
結局、純愛物語というところだが、レズビアン(特にブッチ、ボーイッシュと言われる人)、セクシャリティ、ジェンダーという要素が入り混じり、物語を面白くさせている。是非、全くレズビアンについての本を読んだことがない人に。