安達千夏自身が、レイプによって産まれた子どもで、女性を愛していて、女性を愛することに罪悪感を持っていて、女性である自分自身のからだが気に入っているのにバットマンの腕がほしいと思い、ほしいと思うから男を「抱く」というカナのような人生を送っていないのなら、どうやってこのような立場の人間の心の内側をこんなにも詳しく知っているのだろうと思う。
安達千夏自身の体験でないのなら、この作家の想像力に敬意をささげる。
安達千夏自身の体験に身近な心の風景なのなら、表現しにくいことを詳しく表現してくれた業績に、感謝をささげる。
レイプによってうまれた子ども、親に見捨てられた子ども、男性からの性虐待や性暴力の被害にあった人たちでレズビアン、バイセクシャルの女性で、女性を愛したり大好きな女性にふれたいと思う気持ちに罪悪感を持っている仲間たちにぜひ読んでほしい。私はこの本を読んで、長年の罪悪感がとけはじめたように感じた。