だれしもが坂と気づかぬ坂を登り続けている
★★★★★
会社の上司に薦められ通読しました。
読み終わったぞ
完読したときに頭にパッと浮かんだ言葉。
それほど中身の濃い
人間ドラマに満ち溢れた上下巻でした。
平侍から城中家老になる生き様。
背伸びし続けていた自分から、
背伸びしないありのままの自分の姿になれるまで。
三浦氏の歩むながい坂は
なにも江戸時代の人間にだけでなく
平成の時代を歩む我々にも相通ずるものを感じさせてくれます。
以前に読んだ
『樅の木は残った』を、また読みたくなりました。
とても感動しました。
★★★★★
友人から薦められて読みましたが、今の自分の境遇とオーバーラップされて感激しました。
読みおえて良かった
★★★★★
今まで何度も挫折して読了出来なかっただけに、感慨ひとしおです。主人公の三浦主水正の半生を通して、人の世とは如何なるものか、人情とは如何なるものかを知ることが出来ました。
幼い心に刻まれた屈辱が、向上心を生み、我が身を人の世の渦に投げ込んでゆく。よく、生き延び耐え忍んだものだと、感心せざるを得ません。また、三浦を引き立てて庇護し続けた君主の凄み。小藩にこれだけの人物が居たのか?と思わされます。
武士の世界は安易に礼賛できるような、甘いものではなかったこともよく分かりました。
池波正太郎とも、藤沢周平とも違う!
★★★★☆
見事に上巻が「起・承」で下巻が「転・結」でした。
主人公の主水正には、いつも重い荷物と孤独の影がつきまとう。
颯爽としたところがない。ものの見方が俯瞰的(藩主継承を巡る勢力争い)なため、
さらに苦労が多い。
これが山本周五郎流なのでしょうか。池波正太郎とも、藤沢周平とも違う真摯さ・律儀さを
感じる作品です。
人生そのもの
★★★★★
私は今年35歳になります。ちょうどこの本の主人公と同じ年齢層です。受験戦争を勝ち抜くために頑張った中学・高校時代。そして何とか有名私立大学に入学できたとたんにはじけたバブル。就職氷河期のなかやっと会社に入社し、ガムシャラに働いて中堅クラスになったものの、平成不況の影響で新入社員を採用していないため業務量は増えるばかり。たまに何もかも投げ出したくなることがあります。本書の主人公と与えられた環境や境遇は違いますが、何となく私は自分の今までの人生と照らし合わせて同感する部分が多かった気がします。そしてこれは私だけでなく、どの世代でも日本のサラーマン全員に共感できる部分があると思います。本書の最後は長い人生という上り坂の頂上で到着しません。どちらかというとふっと後ろを振り向いたら思いがけず長い上り坂を登ってきたことに気付くといった感じです。そしてこれからももっと長く急な上り坂が目の前に続いています。しかしそれは悲壮感ではなく今までも頑張ってこれたのだから、これからも頑張るぞ!といった希望感に近いものです。人生の中間点的な35歳から40歳の人にとって、この本は何となく勇気を与えられる薬になるのではないでしょうか?