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原寸美術館 画家の手もとに迫る

価格: ¥3,990
カテゴリ: 大型本
ブランド: 小学館
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接近せよ。そこに美の楽園がある ★★★★★
ロンドン時代にヨーロッパ中の美術館巡りをした経験があります。

ルネサンスから印象派、写実主義、シュールレアリズムと節操もなく観覧しまくりましたが大抵ヨーロッパの
美術館は規模も壮大で展覧している作品数も多く、かといって時間は限られているため、結果駆け足で見ざるを得ないという事が
往々にしてありました。また天井画や壁画、一部の有名な作品などは遠目にしか見れないため、全体の印象を感じる事はできますが
細部を注意してみるという事は叶わないのが現実です。これは美術館を訪れた人にとって共通の悩みではないでしょうか。

この本はまさにそうした欲求不満を見事に解決してくれる企画の勝利と言える一冊です。絵画に接近して一部を拡大して
掲載するという方法は、視点を変えるだけでこんなにも多くの新発見を見るものに与えてくれるのかと感嘆させられます。

モナリザの背景が何か月面のような事。ミケランジェロの描く肉体の躍動感。ボッティチェリの春はまさに花の饗宴ともいえる優雅さです。
そしてフレスコやテンペラといった技法、指でなでつけたりナイフの腹で削ったりといった画家それぞれの特徴的な技の数々を
理屈ではなくリアルに感じ取る事ができます。

ページ全体に広がる絵の数々は、最高レベルの印刷も相まって目もくらむような色彩です。理屈も解釈も抜きにして目にたたきつけられる
天才達の情熱を心行くまで堪能できます。

日本編もありますが、こちらも必見です。
よりマニアックに ★★★☆☆
なかなか面白い企画だと思います。他の画集では気づかないことはもちろん、現物を見た経験があってさえも、近づくことができなかったり、光の当て方によって近づくとよく見えなくなってしまったりして、満足のいく鑑賞ができないことがあるので、貴重な体験を与えてくれるものだと思います。

実際に近づいてみたことがあるものに関しては、違和感も。普通の本で感じる以上に、現物とは違うものだと再認識させられます。かなり高い技術で印刷されているようですが、臨場感をさほどには感じられません。本では細部を本に収めるために切り刻まざるをえないので、視線の動きが不自然に限定されるからかもしれません。ただし、その分、実物よりも大きく見えます。

私が残念に思うのは、点数を欲張ったことです。1作品に充てるページ数が少なく、せっかく自分の好きな絵が載っていても、消化不良になってしまうことがしばしばあるでしょう。解説も少なく、その中でも細部にこだわった記述は限られています。一般の画集としても機能させようとするより、よりマニアックに続刊が出されることを期待します。
びっくりしました! ★★★★☆
今年の春先に、日経新聞の最終ページの右肩に、連載されている美術関係のコーナー。
そこに、この作者の書かれた一文に、この本のことに触れられていた。
それがきっかけで買い求めたもの。
 従来の<縮小版>と同じ程度の感動を得るかどうかは人によって一様ではないだろうが、この図書の切り口の、斬新さに感動する。
そして、現物に触れないと伝わらない感動があることが、再認識できる。
印刷物を通じての可能性を追求されている点で、試みとして素晴らしいと思える。
 より一層の今後の発展を期待している。   May.03 '08
絵の深い理解に ★★★★★
絵のサイズというのは実際に見ると思っていたよりはるかに大きかったり、小さかったりする。これが絵の鑑賞には結構重要だったりする。
この本は小さい絵以外は絵の一部分を原寸で表示しているので、大きさのインパクトを理解するというよりは、技法を良く理解できる。絵の技法というのは日本の美術教育では軽視されているものだけれど、実際には絵を深く理解するには欠くことができないものだ。
たとえば印象派以前の絵が下絵から塗り重ねていくことにより色を作り上げていくことや、印象派が絵の具をダイレクトに塗って効果を出していることが良くわかる。
ボッティチェリが輪郭を描き、ダヴィンチが描いていないことがわかる。このような違いが前期と盛期のルネサンス絵画を分けているということで、ルネサンス絵画への理解も深まる。
あるいはマネが描くガラスの花瓶の驚くべき描写。粗いタッチなのに絵の中では照明で輝く美しい花瓶なのだ。
マルガリータ王女の衣装! ★★★★★
とにかくこれは凄い!目から鱗というか大胆でしかもスリリングな試み!
タッチを拡大し絵画全体を無視した潔さに乾杯!
(すいません、興奮しました)
まずはこの本、絵の選定のセンスが素晴らしい!
(というより私好みというべきか)
ヴィーナスの輪郭線、プリマヴェーラの花
牛乳を注ぐ女の壷のふち
そして驚くほど荒いタッチのマルガリータ王女の衣装!
星月夜の息使いが伝わる盛り上がったタッチ!
クリスティーナの体の線の細さ・・・
すべてが発見の連続。ぜひ続編を!
惜しむらくはスケールを知る為のシルエットのセンスがイマイチ?