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おれの墓で踊れ

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 徳間書店
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不思議な読後感 ★★★★★
冒頭から人が死ぬ(死んだ)ことが示され、実際に中盤で死ぬ話なんですが、不思議と読後感は悪くはなく、むしろ心が洗われるような清々しい気持ちになりました。

大切な人を仲たがいしたまま失うという悲劇、そこに到るまでや到ってからの激しい感情を言葉で表そうとして葛藤する苦しみ、そしてもやもやした気持ちの中身を他人から指摘されたことで心の霧が晴れ渡るような感情など、とても共感できることが多かったです。

はじめは墓の上で踊るという行為をしたハルや、それをすることを望んだバリーの気持ちが理解できなかったのですが、読み終えたあとは「そういうことだったのかな…」と一つの解釈を得た気分です。

ハッピーエンドとはいかなくてもこれも一つの物語の形なんだなあと妙に安心させられる結末でした。
名作? 迷作? ★☆☆☆☆
著者は本作の発想を、現実に16歳の少年が墓を損壊したと報じる
新聞記事に得たのだという。それを見て、その奇怪な行動の背後にあった動機は何か、
すぐに分かったとも書いている。

三島由紀夫の『金閣寺』高橋たか子の『誘惑者』などをはじめ、
現実の事件の枠組みを借り、犯罪者の内面に迫る作品は数多い。
作品は事件をそのままなぞる必要はない。その事件に触発され、
作者が幻視したいわばもう一つの現実、それを読者に説得力ある仕方で
呈示し、主人公との共犯関係に引き込むことができれば、
いかに現実の事件を離れていようとそれは真実なのである。

では、本作品はどうだろうか。お世辞にも成功しているとは言えない。
“心の友”を失い、動揺のただ中で事実を整理すべく手記をしたためた
はずの主人公の文章には、いささかの混乱もなく、鼻につく気取りと、
読んでいるこちらが恥ずかしくなるような大仰な表現が随所にちりばめられている。
「オレは、おびえて太鼓の皮並みにつっぱる腹の中で神経がぶつかりあっているだけの、
なんの役にも立たない楽器と化す」などと混乱のさ中に書く、
傷心の16歳少年が一体どこにいるだろうか。
これはつまり、等身大の少年の造形に作者が失敗している証拠である。

この種の小説は、主人公に同化させることに失敗すれば命取りになる。
読者は主人公の心理を理解できこそすれ、共感はできないからだ。
主人公は死者との生前の約束を、それも墓の上で踊るなどという奇怪な約束を
実行に移した。なぜ? 彼をそうさせずにはおかなかった衝動とは?
なぜかは分かった。だが、そうさせずにはいられなかったほど少年に寄せていた
思いの強さを、私は感じることができなかった。

本書は「名作」ではなく「迷作」であると私は考える。
読者諸氏は、そのいずれと結論されるだろうか?
言い表せない気持ち ★★★★★
この小説は、主人公の少年ハルが過去を綴った文章と、ソシアルワーカーのレポートを組み合わせた構成になっている。そしてハルは自分の書いたことが全く以って事実と一致しないことを何度も強調している。つまりハルの気持ちや、ハルとバリーの間に起こったことは、その瞬間の彼等自身にしかわからない、と主張しているのだ。
私は、ハルに共感してなんとも言い表しにくい感情の波に悶え苦しむと同時に、他人に理解してもらうこともできず、自分にすらはっきりとはわからない、過去の自分というものに思いを馳せた。そして、今というこの時のはかなさと重みを改めて理解した気がした。

驚いたのは、ホモセクシュアル的な内容でありながらも、(それをハル自身が滑稽に書いてある部分は別として)直接は、差別やそれ自体に関する葛藤の問題にもっていっていないということである。つまり、作者はここで同性愛問題を論じたかったのではなく、ハルという具体的な一人の少年の断片、あるいはそこから生まれる何かを描きたかったのだと思う。
ただ、残念だったのは、英語ならではのジョークや言い回しがわからないことであった。それに、訳者は最善を尽くしていると思うのだが、一部、日本語の指示語が上手く意味をなしえていないと感じた。しかしそれでもなお、ことばの壁を越えて訴えかけてくるものがある。
正直にいって、読み終わってからでさえ、胸の上に石を載せられているような苦しみを残す本である。しかし、だからこそ、この本を読んだことのない全ての人に、おすすめする。
恋に似たなにか ★★★★★
 児童書に分類されているけど、けして、かわいらしい本ではありません。主人公の、16才の少年が抱える思いは、大人以上に激しいものです。だけど、同性愛とかセックスとかって言葉で説明するには、あまりに不安定で複雑で、切実です。

 いつも満たされずに自暴自棄で、誰かを探してる二人の少年。二人が手に入れた、互いに慰めあうような幸せな関係は、自分の欠落を埋めるために容赦なく奪いあうようなものへと、変わっていきます。若者の癌が急速に進行して、たちまち死に至るような、その、絶望的な速さ。

 この本に描かれたものを恋と呼ぶのは、ためらわれます。ここに描かれているのは、親に愛されないことが直接に死に結びついている小さなこどもの感覚と、目覚めかけた自我や欲望、憧れや自意識、そういうものが、ごちゃごちゃになったものです。これと比べたら恋という言葉なんて、上品で健全で自然で、まったくなまぬるい。

 十代で読みたかったけど、二十代後半で読んでもすごくおもしろかった。大人にも、おすすめです。

とにかく感動します。 ★★★★☆
このお話はギャグとシリアスの場面がとても良く使い分けられていて、

笑えるところは思いっきり笑え、泣けるところは思わずホロリとします。最初は仲が良かった筈なのにだんだんとすれ違ってしまう、そんな二人の男の子の話です。少しだけ難しい表現もありますが話の流れには差し支えありません。この本に隠された三つの謎を探してみてください。ただし、同性愛が結構入ってます。