いつも満たされずに自暴自棄で、誰かを探してる二人の少年。二人が手に入れた、互いに慰めあうような幸せな関係は、自分の欠落を埋めるために容赦なく奪いあうようなものへと、変わっていきます。若者の癌が急速に進行して、たちまち死に至るような、その、絶望的な速さ。
この本に描かれたものを恋と呼ぶのは、ためらわれます。ここに描かれているのは、親に愛されないことが直接に死に結びついている小さなこどもの感覚と、目覚めかけた自我や欲望、憧れや自意識、そういうものが、ごちゃごちゃになったものです。これと比べたら恋という言葉なんて、上品で健全で自然で、まったくなまぬるい。
十代で読みたかったけど、二十代後半で読んでもすごくおもしろかった。大人にも、おすすめです。
笑えるところは思いっきり笑え、泣けるところは思わずホロリとします。最初は仲が良かった筈なのにだんだんとすれ違ってしまう、そんな二人の男の子の話です。少しだけ難しい表現もありますが話の流れには差し支えありません。この本に隠された三つの謎を探してみてください。ただし、同性愛が結構入ってます。