Siamese Dream
価格: ¥2,076
ビリー・コーガン(Vo,G)が意図したものをジェイムズ・イハ(G)のギター音に乗せて解釈すると、このような音楽になるのだろう。無数に現れては消えたオルタナ系バンドのなかで、彼らの音がしたたかに残ったのは、イハのもつ正統的なギター・テクニックによる押さえが強く働いているはずだ。明らかにジミ・ヘンドリックスやドアーズを連想させるリフは、このバンドのもつサイケデリックな雰囲気やヘヴィーでありながらメロディアスな面を演出するうえで、大きく貢献している。
彼を中心に「音で勝負できる」という強みは、1991年のアルバム・デビューから2年を経たこの第2作目での成長ぶりを見れば明らかだろう。エッジの立ったドラムはよりタイトになり、バンド・サウンドとしてのスケールや方向性がしっかりとしている。ジャズやフォークの要素も取りこむなど、サウンドの展開がさらに可能だったバンドだけに、2000年に解散したことが惜しまれる。その意味でも、今後に現れるバンドの基盤となる音が実現されているアルバムだ。(駒沢敏器)