『Argument Without End』(邦題:『果てしなき論争』 )の構造は型破りだ。マクナマラは各章の「はしがき」と「結論」を書いており、ほとんどの章は、ときに議事録の抜粋のような感じであったり、歴史分析のようであったりする。ベトナム戦争について最も見識のある参加者と批評家が発表を行う、大学院のセミナーを見学しているような感覚を読者は味わうだろう。
その結果、本書の内容はこれまでの仮説に挑戦する刺激的なものになった。本書のどこにでもマクナマラの存在が感ぜられる。多くの共著者が名を連ねてはいても、これはまさに彼の本であり、不気味なほどの彼の楽観主義がかしこにうかがわれる。「ハノイもワシントンも、悲惨な人命の損失なしに、目的を達成することができたはずだ」と、彼は書いている。こうした意見はまさにあと知恵というべきだものだが、東南アジアにおけるアメリカの屈辱的敗北に深く関与した男の発言としてはきわめて率直であるといえよう。あの悲惨な戦争を考えるうえで重要な役割を果たす1冊である。(John J. Miller, Amazon.com)