暴虐の蠍団‾TAKEN BY FORCE‾
価格: ¥1,800
ドイツが誇るハード・ロック界の重鎮と言えば、スコーピオンズが筆頭にあげられる。1965年の結成以来、常にポジティヴな姿勢で彼らの目指す音楽を追究し続ける男たち。マイケル・シェンカー、ウリ・ジョン・ロートという2大名ギタリストが結成から成長期にかけて在籍し、サウンドの形成に大きな役割を果たしている。また、アルバムジャケットのヴィジュアルがセンセーショナルで、発禁や差し替えの常習犯としても名高いグループだ。
5枚目のアルバムとなる本作品は、前作『狂熱の蠍団』と並んで、ウリ・ジョン・ロート在籍時の最高傑作と評価されている。ハード・ロックの強さの中にも繊細な美しさが感じられるメロディ、マイナーを基調としながら意表をついたメジャーコードへの変調、絶妙のタイミングで刻まれる変則リズム。一筋縄ではいかない展開の<1>に始まり、ウリのギターソロが堪能できる<5>、<7>で盛り上がり最後はバラードでクールダウンして閉めるという心憎い構成だ。捨て曲がまったくなく、最後まで一気に聴かせてしまうその吸引力たるや、凄まじいものがある。80年代半ば以降のスコーピオンズしか知らない人にぜひ聴いてほしい。(富良仁 枝実)