グランツーリズモ
価格: ¥3,150
以前から「いい大人が我を忘れて熱狂してしまうバンド」として音楽通や業界人の間で熱い支持を集めてきたクレイジーケンバンド(以下CKB)。良くも悪くも知る人ぞ知る存在だった彼らだが、この機に一気にファン層を拡大するであろうことを確信させる、通算4枚目のオリジナルアルバムが登場した。
昭和歌謡をベースに、ソウル、ジャズ、ヒップホップなど雑多な要素を取り込んだファンキーでハンサムで親しみやすいCKBワールド、という従来のイメージはそのまま。しかし、アレンジや音色はもちろん、ちょっとした効果音や合いの手に至るまで、今までになく緻密に計算され作りこまれているのが本作の特徴。CKB独特の肉感的な歌謡グルーヴが、大滝詠一や山下達郎を連想させるマッドなスタジオワークによってさらにチューンアップされた。
ポップミュージックのあらゆるジャンルである種の「行き詰まり」を感じてしまうこのご時世に、ここまで新鮮に響く(おまけに飛び切り親しみやすい)音楽を作り上げてしまった横山剣とCKBのメンバーに改めて敬服。初めてCKBを聴く人にも、熱狂的なファンにも等しくその魅力が伝わる、本当の意味でのポップミュージックだ。(今井直也)