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顔のない裸体たち (新潮文庫)

価格: ¥380
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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僕にはわからない ★☆☆☆☆
高得点とつけた人のレビューを見て平野さんは「僕の表現したいことを理解してくれてうれしい」
というだろうか?
そんな単純な話なら別に読まなくてもよかったと思う。自分が馬鹿で理解できないほうがいいです。

たしかに人間に対する考察などうなずかされるところもたくさんあります。
当たり前だけど文もうまいです。
描写力、表現力、僕に言われなくてもすごいです。

うーんでも肌にあわなかったのかな〜。
考えさせられる小説 ★★★★★
一歩間違えば,下品でえげつないポルノ小説になってしまう恐れのある内容にもかかわらず,抑揚のきいた端正な文体で綴られているため,作品全体を覆う下品さは全くない.非常にうまくかけている文章だと思う.

顔さえばれなければ,何万・何十万の人間にも裸を見せられるかというのが,本書の主題.逆に言うと,「自分」というもののアイデンティティーは,ただ唯一顔だけにあり,首から下は自分の所有物でもなく,他人のものでもいい単なるお飾りなのだろうか,などと考えさせられてしまう.そう考え出すと,自分とは一体なんであろうとか,何ゆえこの脳が考えることこそが自分なんだろうかと,哲学的命題にまで考えが及んでしまう.

また,ごくありふれた女性が,何故あのような事件を起こしてしまったのか,という過程が非常に緻密に書かれており,ことのなりゆきにわざとらしさを感じさせない.それぞれの行動には,それぞれの理由があってのことだということがわかり,話の筋がつかみやすい.内容的にも退屈な部分は少なく,一気読みできる類の小説ではないだろうか.
元々短編集に収録予定だったらしい質的小品 ★★☆☆☆
少しきつい事を言ってしまうが、私は平野氏の他の著作は全て面白かったがこれだけは酷く退屈だった。そうまで言わないにしても、わざわざソロで抜き出して単行本化するような質を備えたものではないと個人的には思う。著者も少しはそう思うから元々あくまで短編集の中の一つとしてだけ公開するつもりだったのではないだろうか。その意味で本作は短編の中の一つとしてなら全然許せるが、単独で売り出される作品としては質的に小品すぎると私は思った。

ただテーマ的に一応は社会派的でもあるので、後の優れた社会派作品の兆候を秘めているという意味ではいくらか意義があるかもしれない。また勿論これをきっかけに匿名云々について考える機会を得る人がいるといった意義も否定しない。(本書がなくても余裕で考えれるとも思うが…)しかしやっぱりこの作品については評価の低い人の方が的を射てるかなという感じだ。
目の付けどころがいい ★★★★★
彼の旧作が文庫化されたので、早速読んでみた。野外露出プレイにはまった男女が巻き起こした事件について、主に女性の方の視点から描き、現代の性の問題を激しく突っ込んで、取り上げた小説。

いろんな小説あるけど、投稿サイトとかを取り上げたのはあまりないだろう。表には出ないが、こういった投稿ってすごく流行ってる。ある意味、現代の荒廃した性のモラルを象徴しているんだろうけど、世の中、文学界はそういったことを存在しないように扱う中、平野はむしろそういったことに小説の題材を見いだす。目のつけどころが違う。

小説としては短く、冒頭でほのめかされていた事件自体もそんなに意表を突いたものではなく、自分の好みではないが、着眼点は買う。
なかなか面白い ★★★★★
芥川賞作家平野さんの書いた小説です。ポルノ小説ばりの性愛描写が続きます。一見単なるポルノ小説なのかとも思いましたが、平野さんの描こうとしたものはそうではないのだと思いますが、何を描こうとしていたのかは読者にお任せします。出会い系サイトで知り合った見ず知らずの男女が、性愛にのめりこみ、徐々にエスカレートしていきます。みだらな性愛、緊縛、野外での露出、サイトへの投稿。そして、匿名の2人は、数万に及ぶ視線にさらされることになります。そして、最後は、悲劇的な事件に終わります。アブノーマルな世界を描いていますが、現代社会ではよくありそうなリアリティーがあります。インターネットが普及し、人間は、これまでよりも、アブノーマルな世界に踏み込んで行きつつあるのかもしれません。現代社会を映す面白い作品だと思って読みました。