石田は、玉子に目をつけ忠興が出陣後、人質にしようとしたが、夫や子供のために自ら死んだ。
死ぬとき、玉子はキリスト教徒だったので自殺は許されず、家臣の手によって殺された。
38歳の生涯だった。
あまりにも美しい人だったため、忠興は狂気じみた愛情で玉子を縛りつけた。
玉子は城の外に出ることを許されず、庭師が玉子を盗み見しようとしたところを忠興に見つかり、即刻打ち首になったという説もある。
玉子の姿が、自分以外の男の目にうつることさえ耐えられなかったらしい。
だから出陣する際、石田が来たら捕らわれずに死んでほしいと頼んだ。
忠興は83歳まで生きた。
玉子が死んでから生涯妻は娶らなかった。
忠興は、玉子をものすごく愛していたけど、玉子は、キリストの教えで「夫にはキリスト様のように尽くせ」とあるので、忠実に尽くしたというふうに書いてあった。
宗教の力は偉大だ。
宗教の力というより、宗教を信じる人の力は偉大なのかもしれない。
信じる者は、宗教によってどこまでも強くなれるし、つらいことも喜びに変える。
死さえも、「神様のもとに行く」とそれは幸せなことに思えるのだ。
まだ、女が物のように扱われていた時代、キリストの教えは、精神の救いだったのかもしれない。
この時代の本を読むと、この時代の人は、男も女も、生きるといことが、必死だったり、むなしかったり、本当に大変だっただろうなあとつくづく思う。
本当にこんな時代があったんだなと、不思議な感じもする。
今も語り継がれる細川ガラシャの波乱に満ちた、しかし勇気と信仰に満ちた、生涯を綴った作品です。お勧めします。