しかしこの本は数ある生成文法入門書の中でももっともわかりやすい。非常に砕けたタッチで書かれている。
かといって際物的な本かといえば、そうでもない。注目すべきは、伝統学校文法や構造主義がどのような限界に行き当たり、そしてそこからなぜ生成文法が生まれ、どのうよう理論が展開していったかという言語学史的視点に立っているところだ。
意外にこのような観点から書かれた生成文法の入門書・概説書はあまりなかったのではないか。多くは、前提としていきなり「プラトンの問題」「句構造」と展開していき、脱落者を生んでいったのではないか。
この本を読んで生成文法という理論のの本質的意義を理解していただき、より専門的な本に進んでいっていただきたいと思う。その後生成文法にとう対して行くかは、読者諸兄にお任せする。