柊舎《目指せ、1日1冊!》
★★★★★
●1月新刊●
かつてはサーカスの花形、そして自伝を書きつづける「わたし」。
その娘は女曲芸師と「死の接吻」を演じ、孫はベルリンでスターとなった…。
三代にわたるホッキョクグマの物語。
◆ホッキョクグマの話、しかもクヌートの!と聞いて手にした本です。
が、読み始めは結構頭が混乱します。
なにしろサーカス引退後は会議に出て、そして自伝を書き始めるのホッキョクグマ。
これがファンタジーのように擬人化されたものではなく、でも人間と会話をするのに違和感がない、クマであることをふと忘れてしまうような不思議な感覚です。この不思議な感覚をちょっと持て余してしまった気はしますが、第二章の「死の接吻」から、物語にハマってきました。
第二章はサーカスに入るのが夢だった女性・ウルズラとホッキョクグマのトスカの話になります。
人とクマの話の混ざり具合がすごく心地良かったのです。
そして三代目・クヌートの話はクヌートから話を聞いてきたのですか?と言いたくなるような話で、あの愛らしき姿を思い出しました。この章は個人的にすごく好き。
読み始めははっきり言って難しいと思った部分もありました。今でもちゃんとこの作品を読み取れたのかと言えば疑問もあります。はっきり言ってクヌートにやられてるだけかもしれません。でも読んでよかったと思ってます。