物語はどこへ
★★★★☆
6巻で姿を見せた少年は、やはり現在のイエスでした。
カプセルが行方不明になったのも、フレイアとオーディンが事故に遭った後たどり着いたコテージでカプセルを発見したことも、そのカプセルがヨシュアのカプセルにすり替えられていたことも、すべては現在のイエス(子供の姿)の企みだということがはっきりし出します。
過去のアテナとイエスの出会いのシーンでは、予知者であるアテナはイエスの未来に暗黒を視、恐怖しますが、「それが望みなんだ」とこたえるイエス。フレイアとオーディンがいた未来の、人類が、種としての終末に至った分岐点のてがかりかもしれません。
コミックも7巻まで来ましたが、過去へ飛んだカプセルの残り5つのありかは未だ触れられず、アテナだけが吸血衝動をもつこと、アテナに血を吸われて生き延びた人間が不老不死になる理由も、ヴァンパイアが増え続けている原因も未だ書かれません。伏線が先延ばしになっているので星一つ減点。
オーディンはイエスが仕組んでいることを疑いはじめますが、イエスに先手をとられ、ロンドンの住居の監視カメラに収められた映像はイエスからの挑戦状。
フレイアのカプセルから抜き取られた「スピニチューム」は、ヴァンパイアの吸血衝動を消す作用があり、それを抜き取ったのはおそらくイエス。オーディンの住居にカプセル探査のマーカーを残したのは、他の過去にジャンプした5人の所在をイエスが知っていることの暗示でしょう。
子供の姿のもどったフレイアのファッションが華やかなのは、さすが佐伯かよの作画の冴え。女性の読者にはうれしい魅力です。
吸血鬼のギルド、前触れもなくいきなり塵と化すサードの吸血鬼、不明の5名の未来人、なぜフレイアとイエスは大人の姿から子供の姿になったのか、「スピニチューム」をイエスがどう利用するのかをめぐって今後は話が進むのではないでしょうか。