伏線が多いけど面白い
★★★★☆
人類の終末を知っているフレイアとオーディン(北欧神話の神の名ですね)、人類の行く末のターニングポイントとなるキリストの誕生。「現在」のバチカンの秘密が次第に明らかにされていきます。アテナは、ルーやソフィアとなぜ違うのか、ヨシュアは本当に死んだのか、ストーリーはまだ序盤がつづいていますが、6巻で、「今の」キリスト(?)らしき子供が登場します。新谷かおる&佐伯かよのの合作ですから、壮大なドラマを楽しみにしています。
まだ先が見え無い
★★★★★
1〜5巻までの間で誰か書いてると思いますが。
「クォ・ヴァディス(ドミネ)」は新約聖書の中の物語で、ローマでキリスト教の布教に失敗した弟子が、ローマから逃げ出した時に、目の前に現われたイエズス(キリスト)がローマに向かおうとするのを見て、「(主よ)何処に行くのですか?」と言った言葉を抜き出したモノです。
ただ、バチカン(法王)は出て来ますが、あまりカトリックを含め宗教は関係無い様に思います。
むしろ「この話しは何処に向かうのでしょう?」と聞きたいのは私だけでしょうか?
連載中の作品のレビューは難しい。しかし見事なプロット
★★★★★
先に5巻のレビューを書いて、設定の破綻を危惧した。しかし今回の巻を読んで、流石に新谷かおると感嘆した。起承転結という構造で言うと、ビッグ・プロットはこの巻で「転」に入った。ここから更に、拮抗する勢力のあいだの知力を尽くした戦いが展開することになり、「転」のなかで更に物語の起承転が始動する。
実際の処、相変わらず無茶苦茶な話であるが、プロットは骨太で、それが今や確保された為、細かい部分のおかしさは気にならない。ストーリと設定の意外さ、そして事件の転回速度に、話はますます面白くなっている。数々の謎が明らかになって行くと共に、アクションや新しい謎もまた登場するだろう。
そもそもこの話について、わたしは根本的に誤解していた。現在の巻になって漸く分かったことであるが、人類破滅のシナリオは実は、この話の時代、つまり21世紀にその焦点があり、起源と解決の模索、運命がこの現在に進行しているのである。結果から言えば、推測であるが、フレイアやオーディンが過去に飛んだことが、実はすべての出来事の原因になる。フレイアは、真実が何であるのか半ば気づいている。
ここで、第一巻の第一話にあった「第一伏線」に思いが至る。フレイアは森の大樹のなかに眠っていた。これをオーディンが発見するが、実はあの場面で、車で遠ざかる二人を見守る「誰か」の影があったのである。これは誰か・何か、というのが疑問だった。今になって、その重大さが分かる。フレイアとオーディンは実は操られていた。オーディンがフレイアを発見したのは偶然ではなく、そこから起こる様々な事件・出来事は、予めに計画されていた。誰が計画したのか。「イエス」だと想像される。
アテナは約2千年前に生まれたと自分で言っている。すると、アテナはイエスの影の妹か、姉か、何かの鏡像である。未来の研究所より7人または8人の人間が過去に飛んだ。3人しか行方が分かっていない。残りはどうなったのか。フレイアやアテナは何故少女の姿なのか。またヴァティカンの奥深くに、少年イエスの姿が登場している。
この巻で明らかになったことは、フレイアを覚醒させ、彼らを動かす必要が「イエス」の勢力側に生じた結果、話が始まったということである。それは何か、遺伝子操作や吸血鬼に関係があるのか。おそらく。吸血鬼の不老不死とフレイアたちのそれは本質的に同じものであるだろう。フレイアたちは、イエスたち(?)の操作に気づいている。
人類の運命を決する闘いは歴史のなかで進行していた。フレイアたちは後手にまわっていたが、それも自覚された。フレイアはどう反撃に出るのか。イエスやアテナの秘密は何か。ジョシュアや研究所の消えた仲間はどう関係して来るのか。すべて、これまでの話に重なって加速された謎の解明として展開する。樽を浮かべてカプセルの行方を探しているのか。いな。話はドラマティックに動き出している。
「あなたはどこへ行くのか?」とイエスがフレイアに問うのか。あるいはフレイアが彼に問うのか。関係する者たちが、互いに問い合うのか。一見、物語は間延びしているが、実は核心が正に開示されようとしている。不得要領な謎の蓄積は終わった。次はその答えである。今後、振り返ると、物語は綺麗な結晶を構築しているだろう。この期待は、星五つに値する。
設定の破綻
★★★☆☆
5巻のレビューで指摘されていた設定の破綻はまだ解決していません。
流された棺同様、迷走し始めている感があります。
キャラクターは魅力的なのでなんとか持ち直して欲しいですね。