『絶対麗奴』というSM専門誌に連載されていた作品だそうで。絶対麗奴って、すごいネーミング！
SMって男性誌じゃないよね？　うん、のはずない。BLなんだから。

潔癖性の母親とほとんど存在を感じさせない父親。壊れかけた家庭の中で、自分たちも壊れそうになりながら
必死に支え合う兄弟。そう、とっても痛々しい方法だけれど、これは支え合ってるんだろうな。
SM専門誌だけあって初めから終わりまでやりまくってます。おまけに暗い内容で読んでいるのが辛くなる。
BLでもこういう濃いものを読むのは初めてなので、軽くショックを受けました。
そう、こういうジャンルもあるのね......
ラストが印象的です。崩れていく紙の家から陸が潮の鎖を解き放ち、力強く引っ張りあげてゆく。
『大丈夫、僕の手は意外と強いよ』それでタイトルが『うつしみの手』　明治さんはタイトルのネーミングが
うまい人だと思ってました。

同時収録の作品がなかなか良いです。『帰る男』SMなのに泣けます。すべてがわかったうえで読み返すと、
ああ、だからここでこのセリフというのがあって、明治さんうまいなと。『春休み』これ、大好き！
太郎も伊沢も良くキャラが立ってる。太郎のちょっととぼけた味がとても良い。これは麗人スプリングに
載ったものだそうで。BL誌同志ってリンクしてるの？

内容：陸と潮、兄弟だけの甘い秘密の遊戯は週末を
迎えようとしていた。閉ざされた部屋の扉を開けて、
リアルな世界に一歩踏み出す時、二人を待つ結末は？
好評「リアル１/２」シリーズ、書き下ろし「最終話」
を収録、喪失と再生の物語、待望の完結編！

実兄弟　
はああああ幸せ───！！！！
２人の関係はもう限界なんじゃないかと思わせるような
エピソードが続くからもうどっきどっき。
何度本を閉じようかと思うんだけど、その度に微かに光が
見えてなんとか精神を持ちこたえさせる。深層心理を引用
した描写が増えて、より世界に踏み出す瞬間のリアルさが
浮き彫りになる。
後半で明かされる、兄の本当の気持ちと、弟の優しい強さに
、「そうだったんだぁ」っと嬉しいどんでん返し。
つーかこのターンは書き下ろしなの！？雑誌で読んでて
あそこで終わりってかなりひどい・・・。
心理戦みたいなのが入ってる話が好きな人にお勧めｖ
兄ｘ谷口の方が断然多いです。しかも道具に無理やりなので注意。

着地点はどこだろう？ハッピーエンドなのだと思う

名作　だけど　どこをどう説明してよいか分からない
何度も読んでしまいそう
読者を選ぶ作品

最初に前作『リアル1/2』を読んだときは、まとまりのない訳の分からない話だな…、と評価が低かったんですが、続編の本書を読んだら潮と陸の兄弟が立場を逆転しつつも、二人とも救われていてすっきりしました。（おかげで前作の評価も底上げされました。）
新生活を送る二人の生活も見てみたいです。

あと、先輩（女装）と風子（姉）が似てるのを見ると、潮って奴は…。

短編の「春休み」は、これから を感じさせる終わりをしていて、さわやかでした。

明治カナ子著。前作、リアル1/2続編を含む、短編集。
リアル1/2は全体の半分程度を占める。

リアル1/2は「絶対麗奴」という、かなりマニア向けの
ジャンル《SM・同性愛（男）》を扱った雑誌に掲載されていたため、
結果、かなりマニアにしか知られないまんがだったのではないかと思われる。
私も、あるサイトの日記を見るまでその存在を知らなかった。

極度に潔癖な母のいる、崩壊寸前の家庭。
潮と陸の歪んだ兄弟愛がなんともせつないのです。

掲載誌のハードなタイトルに見合った性描写も、
わりと言葉にするとどぎついので割愛するが、
作者の絵柄でなんとなく、乙女雰囲気をかもしだし、
不思議とグロテスクではないため、
ボーイズラブを読める人なら、むしろお勧め。

同時収録の他３話もなんだかせつない系。
いわゆるエロ漫画で泣いたりしてみてください。