『Howl's Moving Castle』(邦題『魔法使いハウルと火の悪魔』)の続編にあたる魅力的な本書でも、ダイアナ・ウィン・ジョーンズは壮大なスケールで軽快なテンポのファンタジーを見事につくりあげている。この物語のなかでは、人も物もけっして見た目どおりではない。良い魔神に悪い魔神、瓶のなかの精霊、魔法使い、魔女、猫と犬(でもほんとうに猫と犬なのか?)、さらわれた姫が大勢いる不思議な空飛ぶ城、さらには不可解なふたつの予言も登場する。物語は人をからかうような紆余曲折を繰り返しながら加速していき、やがて予言が現実のものとなり、いろいろなものの真の姿が明らかになる。そして、息をのむような、驚きでいっぱいの文句なしのエンディングで、すべてが見事に解決する。