永遠の課題。犬も法も食わない!?「嫁姑戦争」
★★★★☆
8巻後半から続く、嫁姑戦争。重森の高校時代の後輩犬飼が教師という仕事、教育
委員会という組織、そして嫁、姑それぞれに振り回されながら少しずつ道を踏み外し
てしまう悲劇の過程を描く9巻。
嫁と姑の言葉のやりとり。一つ一つの言葉にそうさしたる「トゲ」があるわけでも
ないのだが、言葉を繋げれば繋げるほど「些細なフレーズ」が微妙に嫌味に味付け
される。日常の会話が鋭いナイフに変わる瞬間を巧みに描き出すこの世界観はさすが
「カバチ」ならでは。
たとえ嫁姑問題とは無関係の生活を送っていても、なんだか妙に落ち着かない、
そわそわした気分になってしまうくらいリアリティに溢れている。
嫁と姑問題は、犬も法も食わない面倒ごとと言われる!?複雑な問題で、いくら法律
を振り翳しても竹を割るようにスパッと解決することは難しい。しかし不器用でも夫婦
のあり方に正面からぶつかる重森、犬飼、そして住吉の三者三様の思いにぐいっと引き
込まれることは間違いない。
住吉の「嫁の味方になったつもりでも役に立たなければ何の意味もない。味方して
やっているだろうという中途半端な思い上がりが迷惑」という言葉は耳が痛い・・・。