二人の主人公は自分の職分を全うしているだけなのかもしれませんが、次第に幕末という大きな時代のうねりに巻き込まれてゆきます。
第2巻に引き続き話は展開。
万次郎はハリスやヒュースケンの信頼を厚くし武士らしい、義理の人間として生き抜いている。
一方、良庵は人情の人として、「医は仁術」とばかりに生きてゆきます。そして適塾(大阪)から江戸表に戻り、いよいよ父良仙の下種痘所開設に励もうとするのでした。
第2巻に引き続き話は展開。
万次郎はハリスやヒュースケンの信頼を厚くし武士らしい、義理の人間として生き抜いている。
一方、良庵は人情の人として、「医は仁術」とばかりに生きてゆきます。そして適塾(大阪)から江戸表に戻り、いよいよ父良仙の下種痘所開設に励もうとするのでした。
歴史が、下級武士や医者などの庶民・市民までも飲み込むような勢いで、激動の時代へと入ってゆく様を、下級武士や医者・庶民・市民などの一般人の視点で追いかけている。
地震で死滅した「陽だまりの樹」の如き徳川幕府という、旧時代の絶対権力の衰退と、島国日本が本格的な近代国家である欧米の世界進出と向き合っていかなければならない時代との複雑な相互作用というのは計り知れない影響力があるものだと感じた。