「カムイ外伝」第ニ巻。
抜忍カムイは追われ続けている。
カムイ暗殺をしくじった追っ手の中に、抜ける者が現れ始める。
カムイの姿に希望を見たのであろう。
追われるものは、すべて疑ってかかる。誰も信用できない。
周りのすべてが追っ手に見える。
追われるものは、追われる恐怖に負けたとき命が費える。
「第２部スガルの島」では、抜忍の九の一との奇縁。
同じ抜忍から常に敵視されるカムイが描かれている。
追われるものの心情が切なく描かれた作品群。

『決定版カムイ伝全集』（決定版カムイデン全集 カムイ伝 外伝 11巻セット）が出てしまった現在に於いて、
この『叢書版』での役目は、もう済んだのかも知れません。

『カムイ外伝』とは･････　理不尽とも云える忍者社会に属してしまった主人公“カムイ”。
彼が“抜忍”となってからの苦悩と、彼を取り巻く“人間模様”を描いたエピソード集。

この叢書版の第弐巻までに、1965年〜1967年の期間に『週刊少年サンデー』に掲載された
全二十話分が収録されている。（この旧作は『カムイ外伝“第一部”』と称されている。）

白土作品の中でも特に定評のある作品の為、『カムイ外伝』は各メディアに於いてもリリースされることになる。

先ず、エイケン製作のＴＶアニメ版は、原作がリスペクトされ“(ある意味)原作以上に素晴しい出来栄え”となった。
『カムイ外伝』のアニメーション製作は、水原弘の主題歌を始めとして、
城達也のナレーション、声優、スタッフ、どの仕事を採っても贅沢な仕上がりである。
忍風カムイ外伝 Vol.1 [DVD]　忍風カムイ外伝 Vol.2 [DVD]　忍風カムイ外伝 Vol.3 [DVD]　
忍風カムイ外伝 Vol.4 [DVD]　忍風カムイ外伝 巻之五 [DVD]　忍風カムイ外伝 巻之六 [DVD]
忍風カムイ外伝 巻之七 [DVD]　
このアニメーション作品があることによって、原作の厳しくも美しい、その“世界観”が更に拡がったのである。
『忍風カムイ外伝』のＤＶＤシリーズ（全七巻）を観る度に、そのことを強く感じてしまう。
更に、劇場版アニメ映画（カムイ外伝・月日貝の巻【劇場版】 [DVD]）としても1971年に東宝系で公開された。

そして、ＮＨＫ-ＦＭで放送されたラジオ・ドラマ版も原作のニュアンスが確りとリスペクトされていて、
とても好評であった。（『外伝“第二部”』のエピソードで“続編”も製作され、後にＣＤ化もされた。）
しかし、悪例もある。
同名ではあっても、あの“変な”実写版映画だけは完全に駄目でした。
原作をちゃんと理解しないまま無理矢理に作った別物という有様であった。

ところで、この『叢書版』、せめて表紙は作者の原画を使用していただきたかった。
だが、この表紙も渋い魅力があって良いとも思う。

世の不条理、自由への戦い、人間の本質といったものがすべて含まれていて漫画では収まらない大作。

世の不条理、自由への戦い、人間の本質といったものがすべて含まれていて漫画では収まらない大作。

世の不条理、自由への戦い、人間の本質といったものがすべて含まれていて漫画では収まらない大作。