文庫版『ゴルゴ13』第11弾!
★★★★★
第50話 ROOM・No.909
増刊3話 国際ダイヤモンド保安機構
第51話 潜入ルート"G3"
第52話 国境線の5人
第53話 ナポリの女
第54話 死の収穫(前編)
『ROOM・No.909』。
ニューヨーク。30階建てのアパートの909号室を1週間借りて、500メートル以上離れたビルにいる標的を、6.2メートルの横風の中、ビルとビルの間の隙間を通して狙撃する。
常人には不可能だが、ゴルゴにとっては、なんのことはない、ごく普通にやってのける、非常に基本的な仕事と言っていい。取り立てて1話の物語とするほどのエピソードではない。
しかし、ゴルゴはミスを犯してしまったのだ。
ゴルゴがベッドで待機している間に、909号室のベランダに猫が侵入し、植木鉢の陰に隠れた。ゴルゴはそれに気付かずに、ベランダから標的を狙う。
ベランダからの狙撃に成功した瞬間、銃声に驚いたのか、猫が飛び出した。今度はそれにゴルゴが反応し、空の薬きょうをベランダから落としてしまう。
たまたまその下を通っていた麻薬常習者のチャーリイがその薬きょうに気付いて拾おうとする。たまたまそれを見ていた警察官がチャーリイに駆け寄り話しかける……。
そんな偶然が重なって、ニューヨーク市警の刑事に目を付けられる。
しかし、それ以上の証拠は見つからない。そして刑事は、実際に909号室のベランダから殺害現場を見てみて、たとえ裁判にかけてみたとしても、とてもこの状況で狙撃したことを、12人の陪審員に納得させることはできない、と、あきらめてしまう。
ゴルゴの仕事は、たとえ目撃されたとしても、『そんなことは信じられない』と、有罪を立証できないのではないかとさえ思えてしまう一編である。
その他、『潜入ルート"G3"』で、ドジな医者になりきって芝居する、貴重なシーンは必見?
SPコミックスコンパクト版第11巻「潜入ルート−G3−」
★★★★★
収録作品
・第50話「ROOM(ルーム)・No.(ナンバー)909」
・増刊3話「国際(インターナショナル)ダイヤモンド保安機構(セキュリティ・オーガニゼーション)」
・第51話「潜入ルート“G3(ジースリー)”」
・第52話「国境線の5人」
・第53話「ナポリの女」
・第54話「死の収穫(前編)」
「ゴルゴ13」は毎月10・25日に発売される小学館「ビックコミック」に掲載され、3,6,9,12月の13日に発売される小学館「別冊ビックコミック ゴルゴ13シリーズ」や2,5,8,11月の13日に発売される小学館「ビックコミック増刊 ゴルゴ13」に収録されて発売されています。さらにその後、リイド社SPコミックス「ゴルゴ13」に収録され、現在ではリイド社よりSPコミックスのコンパクト版が発売されています。
小学館「ゴルゴ13 My First Big」は、コンビニ向けのタイトル別漫画再録シリーズで、毎週金曜日に発売され、毎号一つのテーマに則した内容の話が収録され、収録作品に関連したコラムが併録されています。
小学館「ビックコミック」、「別冊ビックコミック ゴルゴ13シリーズ」、「ビックコミック増刊 ゴルゴ13」は雑誌であるため古本屋やネットで購入できない場合が多いので、ゴルゴ13シリーズの収集にはリイド社SPコミックスかSPコミックスコンパクト版が適していると思います。
とりわけ本書を含むSPコミックスコンパクト版は、収集に適した文庫本サイズであり、渋い黒の装丁、巻末には「THEゴルゴ学」の編集総監督である杉森昌武さんの解説付きなど、新たにゴルゴ13を収集する方におすすめです。