凌辱不幸のなれの果て。パブロフの犬と化す壊れた少女に欲望をぶちまけて幸せになる一冊。
★★★★★
★5の上。
巻末に『DOLL HOUSE』という短編が収められてはいるもののほとんど丸ごと表題作『精液中毒』というか、個人的には『性交中毒』だろと思える著者の8冊目にして初の長編。
長編だからターゲットは少ない。というか2人だけ。それも、2人目の少女(主人公の親友にして想い人)は主人公である少女の引き立て役としてのアイテム代わりに凌辱されるから、ほとんど1人と考えていただいても間違いではないだろう。
主人公の女の子はけっこー勝ち気で暴力的なコ。
彼女が好きなのは同級生の女の子。
親友でもある彼女の机にオマタをこすりつけているところを男子生徒に見つかって……。
想い人を巻き込みたくない一心で、あとは真っしぐらに堕ちてゆくだけ。
凌辱の限りを尽くされた末に彼女がたどり着く場所は……。
痛みさえも快楽にすり替わり、大切なものすら見えなくなってゆく少女の心理の移ろいが見事だ。こんなものリアルじゃないと脳では理解していてもどんどん引き込まれてゆくのが恐い。ラスト1ページは、もはや笑えない。
オイスターだから当然『かなりの痛み』を伴う。1シーンだけだけど『食糞』もある。苦手な方は避けて欲しい。
物語的にも、著者の最高傑作『外道』を上回るデキだと個人的には思う。