70's All-american Ads (Midi Series)
価格: ¥3,469
テレビに侵食され、その一方で影響も受けた1970年代アメリカの印刷広告は、60年代の典型だった大胆で生き生きとした様式や難解なメッセージという路線から離れていった。70年代の広告は、ピンポイントで派手なテレビ・コマーシャルに慣れた大衆の注意を引きつけるために、より直接的で押しの強いものになった(ウィットに富んだ皮肉っぽいコピーとミニマルなデザインで名高いフォルクスワーゲンの広告さえ、70年代にはそのパンチ力を幾分失っていた)。とはいえ、すべてが失われたわけではない。広告は時代を映す鏡であるがゆえに、人種や環境に関する問題意識が、タバコから車にいたるまで、あらゆる広告に入り込み、日用品は現代に相通ずるものだということをアメリカ人に気付かせたのだった。大衆との最良のコミュニケート方法を発見すべく、マーケティングの専門家たちは猛烈な決意をもってフォーカスグループを研究した。かくして、「sisters are different from brothers (姉妹は兄弟とは違う)」(アフリカ系アメリカ人向けヘアケア商品のコピー)などのやさしくかみ砕かれた名フレーズが生み出されていった。だが、70年代末には印刷広告は勢いを取り戻し始める。舞台をより小規模な媒体に移し、掲載場所を念入りに選んでターゲットを絞り込むようになったことで、オリジナリティーと創造性を増していったのだ。テレビに憑かれたポストヒッピー時代のアメリカ大衆文化を魅力的に探索する本書は、70年代広告の全貌を徹底的に、そしてノスタルジックに紹介した重量感たっぷりの1冊だ。