オープニングを飾るパワフルなロック・ナンバー「エドガー・アラン・ポー」（正確には2曲目だが）に、まずぶっ飛ばされた。ロック・シーンの生きる伝説、ルー・リードの3年ぶりのアルバム。リードのアルバムを聴いて、こんなに興奮したのは何年ぶりだろうか。19世紀のアメリカの作家、エドガー・アラン・ポーにインスパイアされたという本作は同時リリースの2枚組CD（18曲＋18編の詩の朗読）からの抜粋（18曲＋3編の詩の朗読）。しかし、それでも聴きごたえは十二分にある。元々、舞台劇がベースになっているというだけあって、楽曲もバラエティーに富み、起伏に満ちた展開にぐいぐいとひきずりこまれる。デヴィッド・ボウイ、俳優のウィレム・デフォーら、ゲストも豪華だ。いや、何よりも演奏が、サウンドがキレまくっている。その気迫に圧倒される。（山口智男）