Eliminator
価格: ¥1,350
Z・Z・トップ9枚目のスタジオ・アルバムはまさに時代のムードをとらえている。MTVの創設まもない頃にリリースされた、テキサス出身の3人組のおどけた力強い歌は、音楽チャンネル初期の中心的な存在になった。世間は、テキサスの女性が皆ジェリー・ホールみたいなのだと、1983年の現実とはそう違わないことを感じさせられたものだ。たとえ完全に正確でなかったとしても、彼らの音楽は、聴く者を、車と女性の両方がスピーディーでお手軽な世界に連れて行ってくれた。ビル・ギボンズのうなるようなギターが、若い頃のヘンドリックスのような猛スピードでいくつもの曲を突進する。歌詞はちょくちょく不出来なこともあるが、Z・Z・トップの原動力にやられてしまう楽しさを考えたら、すべて許せてしまう。「Gimme All Your Loving」(邦題「ギミ・オール・ユア・ラヴィン」)、「Legs」(邦題「レッグス」)、皮肉でダイナミックな「Sharp Dressed Man」(邦題「シャープ・ドレスト・マン」)はラジオで大ヒットしたが、ほんとうに珠玉の作品といえるのは「I Got the Six」(邦題「アイ・ガット・ザ・シックス」)や、同じく大げさな「Bad Girl」(邦題「バッド・ガールズ」)では、フランク・ベアードの興奮を生むドラム、ダスティ・ヒルのしっかりしたベースがみごとだ。『イリミネイター』(原題『Eliminator』)は、荒々しいこの一団が、自身の基本的なブギーを押し進めて名人になっていった最初の時期を示してもいる。そして、初期のファンにはがっかりした人もいるだろうが、ほんとうのところ、この新しい洗練された感じは、Z・Z・トップに精妙さと奥深さを加えている。(Jaan Uhelszki, Amazon.com)