インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

中国の民族問題―危機の本質 (岩波現代文庫)

価格: ¥1,296
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
難解だが心に響く分析 ★★★★★
国家論の盲点を突いて「世界国家」の分析概念を提起しているが、民族問題を考える上で単に理論面の理解だけでなく、私たちが民族にどう向き合うかを教えているという点で貴重な指摘と言うことができる。またチベット問題を理解する上で、政教合一体としてのゼクテが、それ自体政治結社となること、それゆえにダライラマのいう「高度自治」が、ある種物理的空間を越えた精神的空間の自治となるとき、そこに政教分離が前提されていない限り、香港の一国両制的な自治とはなりえないことを明確に論じている。またダライラマの主張するガンジー主義的な非暴力・不服従の主張がチベット人の出家僧侶、在家信者の間で必ずしも理解されず支持もされていないこと、それでいて多くの出家・在家がダライラマを尊崇していることの矛盾も、相当程度に解き明かされている。難解だが喰らいついて読む価値が十分にある。
中国の民族問題の核心を突く書 ★★★★★
今や紛れもなく大国の道を歩む中国にとって、その未来を最終的に決するのは辺境民族問題にほかならない。それはロシアやアメリカ、さらにはアラブ・イスラム諸国が織り成す排他的な宗教とナショナリズムの錯綜した軍事政治の力学と深くかかわりつつ多くの流血とテロを呼び起こしている。こうした民族問題のからまった糸を、本書は中国の国家原理から説き起こして、清朝、中華民国、そして毛沢東の中国から今日の胡錦涛の中国に至るまでの民族宗教政策を丁寧にトレースしつつ、同時にチベット、新疆ウイグル、内モンゴルの各地域の民族問題の個別事例に深くメスを入れながら、極めて鋭い分析をしている。むろんそれは単なる分析に終っているのではなく、からんだ糸を解きほぐすその糸口を提示しても入る。中国のみならず世界の民族問題を考える上で本書は必読の書となるだろう。