少女カミーラ・クリームは、周りの人たちと自分が違っていることが大嫌い。大好きなリマ豆も友だちが嫌っているという理由で食べようとしません。学校に着ていく服もみんなと同じようなものばかり選んでしまいます。始業式の日も、どれを着ていくか決めるのに42回も着替えました。やっと白いリボンのついた真っ赤なドレスと決めて鏡をのぞくと、カミーラの体は頭の先からつま先までレインボーカラーのストライプ柄になってしまったのでした。しばらくするとそれが星条旗の柄、水玉、豹柄、数字、うずまき模様など、あらゆる柄がまざりあった不思議な柄に変わっていくのです。この原因不明の奇病を解決するために集められた医師団にもどうすることができません。医者のなかには、眉間にしわを寄せてカミーラの足の裏を鳥の羽でくすぐったり、トンカチを持ちだす（大）バカ者も。こんなカミーラの奇病に街の人たちも大騒ぎ。テレビリポータまでやって来ました。そんな騒ぎを人ごとのようにテレビで見つめるカミーラの体からは、めきめきと枝が飛び出し、おしりにはトラのしっぽ、足は根っ子に変わっていくのです。

   みんなと一緒ばかりがすべてだったカミーラが、地球に存在したことのない奇妙な生き物に変わっていけばいくほどなぜか心の中がすっきりしてきます。David Shannon（ディビッド・シャノン）の少しグロテスクでクレイジーなほど鮮やかな色彩は、気持ち悪さよりも快感を感じさせます。最後のページで、満面の笑顔でリマ豆を美味しそうに食べるカミーラを見ると、読者はこの本の隠された魔力を体の底から感じるでしょう。実は癒しの絵本なのかもしれません。（ゆ）