シャナイア・トゥエインのコンサートDVD『Up! Close and Personal』は、2002年のベストセラー・アルバム『Up!』の姉妹作。同時に、アリソン・クラウス & ユニオン・ステーションをフィーチャーした、親しげな雰囲気のショーでもある。トゥエインとクラウスほど個性の異なる2大スーパースターが、どちらも自然体で共演を果たすなんて、ちょっと想像できなかった事態だ。実際、クラウスが「Whose Bed Have Your Boots Been Under」でバックを担当している光景はシュールそのもの。しかし、この顔合わせは成功している。アルバム『Up!』は全19曲で、ポップとカントリーの両面を持っていたが、本作ではカントリー的なアプローチが強くなっている。アリソン・クラウス & ユニオン・ステーションによるブルーグラス・サウンドは、トゥワングやペダル・スティールを多用したアルバム・バージョンよりも聴きやすい。「From This Moment On」など、思わずクラウスの曲と間違えそうだ。だが、これはあくまでもトゥエインのショー。「I'm Gonna Getcha Good」、「You're Still the One」、そしてカバー曲「You Shook Me All Night Long」（夫のマット・ランジが大昔にAC/DCのためにプロデュースしたチューン）等々、すべての曲で彼女がリード・ボーカルを担当している。衣装は意外と保守的な黒のレザー(!)で、以前のショーに登場したエアロビクスやステップ・ダンサー陣は排除された。トゥエインは愛想たっぷりに周囲の観客と言葉を交わす（誰もステージに上げてはもらえないけれど）。そんなわけで、全12曲をひたすら歌うだけの1時間だ。物足らなければ、舞台裏を描いた25分間の短編が併録されているので、そちらもどうぞ。（David Horiuchi, Amazon.com）